○ 望遠鏡 テスト (分解能 etc)




○ 屈折望遠鏡の収差

一般的に呼ばれている5収差、即ち球面・コマ・非点・湾曲・歪曲 の内、眼視性能に大きく影響してくるのは、
球面収差です。

肉眼の感度の中心をなす、緑のe線(546nm)黄のd線(588nm)青のF線(486nm)、赤のC線(656nm) これらの焦点距離の差異が大きいと明瞭な像にはなりません。紫のg線(436nm)は 、写真に大きく影響します。アクロマートや一般EDアポ等は、g線が大きく乖離しがちです。

望遠鏡メーカーから様々に球面収差図が公開されていますが、収差が小さいものは少なく、高倍率域でのシャープネス・分解能が悪化しているのが伺えます。回析限界内(エアリーディスク)に100%近く集光しているかを確認するためには、中心星像のスポットが約 0.01mmまで小さくなっているかを見る必要があります。


フローライトやEDガラス材を使用した場合、2枚玉の100mmF8クラスでは、ストレール比約 90%程度まで設計が可能ですが、95%以上を目指すとおのずと3枚玉になります。(一般的な良鏡の目安である1/4λは、
ストレールレシオ、80%程度とされます。)  
望遠鏡 ・光学メモ

※ アポクロマートの定量的定義 (基準) とは?

一般的には、可視光全域 (770-400nm/A'-h線)で、
ストレールレシオ 80% 以上、とされます。




○ エアリーディスクと分解能に関する考察

良好な光学系(概ね1/8λ以上)において、星像の約 97%は中心のエアリーディスクに集光し、残り約 3%は回折リングとなり美しい星像を見せます。しかしながら精度の低い光学系の望遠鏡では、ディスクから光がはみ出し回折リングも肥大して融合し、明確なエアリーディスクは確認出来ません。分解能はかなり低下します。

エアリーディスクの理論直径は、
2.44λF (ミクロン) となります。(波長0.5μ、F 8の場合、約 10μ)
青色の等光二重星をテストすれば、それよりもやや小さな数値となります。

角度では、
244/d mm 秒 (口径 100mmの場合、直径 2.44μ、分解能は 1.22μ)




○ シーイングとの関係

大気の揺らぎは、星像のエアリーディスクを肥大させ、分解能を低下させます。

日本国内の一般観測地、平均的な気流で、エアリーディスク直径は約 2秒。口径 120mmクラスのものが、費用対効果 ・ 時間対効果、が最も高い光学系と言えそうです。

大口径の場合は、小口径の気流の影響とは性質が違います。小口径の場合はエアリーディスクやジフラクションリングが明確なまま飛び跳ねる感触ですが、大口径は全体的に星像が肥大します。125mm(5インチ)前後で、ピッカリング・シーイングスケールにおいて 6/10 以上の良シーイングに恵まれれば、口径なりの分解能を発揮します。 (参考)
 シーイング・計算 etc

気流の予測には、高層天気図が有効です。300hpa・500hpaにおいて、ジェット気流から離れ、風速が弱い時は良シーイング(シンチレーション)が期待できます。目安として、300hpaでの風速が約40ノット(細い羽根4本)、500hpaでの風速が約20ノット位で、スケール 7/10 前後です。(参考)
 高層天気図 00h 12h





★ タカハシ FC−150  2枚玉フローライト (F11)

平均的な気流 (rating5/6) にて高いシャープ感、エアリーディスク直径は約 1.5秒
こと座−ε2 の星像は極めて明瞭間隔は広く確認出来る。




画像ソフト

土星も、高い解像力と質感の像質。カシニは全周に渡りシャープに見える (2008年)
色彩も豊富。高コントラスト。 
星空のまにまに 西九州

(高橋 LE 5mm 340倍)





○ 眼視テスト

レイリー値を基準としたチャートでのテストも有用です。テスト距離を決め、
122/口径 D mmのチャートを作成、
縞模様が分離するかの判定です。縞自体の太さはレイリー値の1/2です。(0.7mm)  

口径 102mmの場合、分解能は 122/102 = 1.2秒 = 0.00033度
tan 0.00033 = 0.0000058

テスト距離・240mの場合、240 * 0.0000058 ≒ 1.4mm 間隔。





100mm望遠鏡テスト




○ 眼視テスト その他 (1)


重星テストは、こと座 イプシロン ε以外に、春期の、おおぐま座 クシー (ξ
UMa)、等が適切です。エアリーディスク・回折リングの形状、ハロの形状等を見ます。

分解能 (解像度) テストは、重星等の点光源だけでなく、各種チャートでのテスト、更には月惑星・風景等の面積光源も必要です。

月面の場合、プラトー、プトレマイウス内部の小クレーター、トリスネッカー谷、等が良好です。地上の風景、例えば遠方の鉄塔の微細構造等でも、光学系の性能を、客観的・定量的に測定可能です。

極限等級のテストは、北極星野付近が良好です。




○ 眼視テスト その他 (2)

重星を使ったエアリーディスク・回折リングの計測等以外にも、眼視テストの手法はあります。代表的なものは、あえて焦点をぼかし、焦点内像・外像のリングの様子を見る方法です。

良いレンズ・反射鏡の場合は、焦点内外像は共に美しい同心円のリングを描き、双方が相似しています。欠点のあるものは様々に崩れます。焦点内像・外像のどちらか一方のみが崩れる場合もあります。

分離式タイプの対物レンズの場合は、軸がズレているとそのとうりの軸ズレした焦点内外像となります。前群、後群が離れた4−5枚玉ですと、特にその傾向があります。

また、焦点内外像が美しい対照リングを描いていても、分解能が悪い時も多々有ります。







○ 望遠鏡テスト総括 

望遠鏡のテストにあたり、小口径から天文台の大口径に至るまで ( 50-1000mm)
延べ
数百本の望遠鏡の星像をテストしました。

近年は、高性能設計の アポクロマート屈折が増えてきたのは喜ばしいことです。ストレールレシオ (エアリーディスクへの収束比率)等の評価基準もメジャーになってきました。しかしながら、望遠鏡の本当の性能は卓上での理論値ではなく、加工・調整精度及び温度順応etcを含めた、トータルの実視性能であると考えます。
(特に大口径の温度順応性能は重要です)

日本の大気の中で、コンスタントに良好な理論分解能を出せる望遠鏡は、120〜150mmクラスの、高精度 アポクロマート 屈折という感じを受けます。屈折望遠鏡は透過光なので、面精度の影響 etcは、反射望遠鏡の1/3程度です。高いコントラスト(透明感、豊かな質感)も堪能出来ます。

また高精度の100mmクラスのアポクロマート屈折は、平均的な気流の時 (シーイング 5/10) で、高い
シャープネスの星像を見せていました。




 望遠鏡テスト機種リスト

タカハシ /
FC-150, FCT-150.200,FS-78.102.128.152, FSQ-85,TSA-102, TOA-130, etc
タカハシ (純ニュートン)/ MT-100.130.160.200, etc
ビクセン / FL-102s.80s.70s, ED-102ss, etc

ペンタ/ SD-105.150.200, SDHF-75.105, SDP-105, etc
苗村鏡 / 200-F8, 400-F6, 500-F5, etc
ツアイス/ APQ 150/1200, etc

others / ミカゲ,三鷹,西村, 
テレビュー, ミード,セレ, その他自作品etc, ( 50-1000mm)


光学設計 etc


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