○ 準備書面 /  長期避難計画、損害賠償等   (2018.0315+)




0 ・ はじめに 〜 安全基準策定の意義 ・目的等 



一度でも大事故を起こせば、多くの生命・財産に重大な損害を与える設備等を運用する場合、その安全管理は、国家の直属機関がそれ相当の高度な法規、科学的見識、目的意識を持って為されて然るべきである。

原子力発電所の場合、大事故を起こせば、広範囲の国土が汚染され、日本国民の生命・財産
の損失 は、天文学的数値になるのは明らかであるが故に、最高品質の安全基準 が求められる。




1 ・ 放射線 ・管理区域の制定等 



危険な放射性物質から、住民等を保護する為に、各省庁において様々な法律 (規則) が定められている。


■ 電離放射線障害防止規則 (労働安全衛生法 〜厚生労働省)

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S47/S47F04101000041.html

(管理区域の明示等)

第三条  放射線業務を行う事業の事業者(第六十二条を除き、以下「事業者」という。)は、次の各号のいずれかに該当する区域(以下「管理区域」という。)を標識によつて明示しなければならない。  外部放射線による実効線量と空気中の放射性物質による実効線量との合計が三月間につき一・三ミリシーベルトを超えるおそれのある区域  放射性物質の表面密度が別表第三に掲げる限度の十分の一を超えるおそれのある区域  前項第一号に規定する外部放射線による実効線量の算定は、一センチメートル線量当量によつて行うものとする。  第一項第一号に規定する空気中の放射性物質による実効線量の算定は、一・三ミリシーベルトに一週間の労働時間中における空気中の放射性物質の濃度の平均(一週間における労働時間が四十時間を超え、又は四十時間に満たないときは、一週間の労働時間中における空気中の放射性物質の濃度の平均に当該労働時間を四十時間で除して得た値を乗じて得た値。以下「週平均濃度」という。)の三月間における平均の厚生労働大臣が定める限度の十分の一に対する割合を乗じて行うものとする。  事業者は、必要のある者以外の者を管理区域に立ち入らせてはならない。  事業者は、管理区域内の労働者の見やすい場所に、第八条第三項の放射線測定器の装着に関する注意事項、放射性物質の取扱い上の注意事項、事故が発生した場合の応急の措置等放射線による労働者の健康障害の防止に必要な事項を掲示しなければならない。







■ 実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則 (原子炉規制法 〜経済産業省 ・ 原子力規制庁)

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S53/S53F03801000077.html


管理区域への立入制限等

第七十八条
 第八条法第三十五条第一項の規定により、原子炉設置者は、管理区域、保全区域及び周辺監視区域を定め、これらの区域においてそれぞれ次の各号に掲げる措置を講じなければならない。

一管理区域については、次の措置を講ずること

イ 壁、さく等の区画物によつて区画するほか、標識を設けることによつて明らかに他の場所と区別し、かつ、放射線等の危険性の程度に応じて
人の立入制限、かぎの管理等の措置を講ずること。
ロ 放射性物質を経口摂取するおそれのある場所での飲食及び喫煙を禁止すること。
ハ 床、壁その他人の触れるおそれのある物であつて放射性物質によつて汚染されたものの表面の放射性物質の密度が経済産業大臣の定める表面密度限度を超えないようにすること。
管理区域から人が退去し、又は物品を持ち出そうとする場合には、その者の身体及び衣服、履物等身体に着用している物並びにその持ち出そうとする物品(その物品を容器に入れ又は包装した場合には、その容器又は包装)の表面の放射性物質の密度がハの表面密度限度の十分の一を超えないようにすること。

二保全区域については、標識を設ける等の方法によつて明らかに他の場所と区別し、かつ、管理の必要性に応じて人の立入制限、かぎの管理、物品の持出制限等の措置を講ずること。

三周辺監視区域については、次の措置を講ずること。
イ 人の居住を禁止すること。
境界にさく又は標識を設ける等の方法によつて周辺監視区域に業務上立ち入る者以外の者の立ち入りを制限すること。ただし、当該区域に人が立ち入るおそれのないことが明らかな場合は、この限りでない。(以下略)

(実用炉規則第一条第二項第四号等の線量等)

第二条実用炉規則第一条第二項第四号及び貯蔵規則第一条第二項第二号の経済産業大
臣の定める線量、濃度又は密度は、次のとおりとする。

一 線量については、三月間につき一・三ミリシーベルト

二 濃度については、三月間についての平均濃度が第七条第一号から第四号までに規定する濃度限度の十分の一
三 密度については、第五条に規定する表面密度限度の十分の一 ※

2 前項の場合において、同一の場所に外部放射線と空気中の放射性物質とがあるときは、外部放射線に係る三月間の線量又は空気中の放射性物質の三月間についての平均濃度のそれぞれの同項第一号の線量又は同項第二号の濃度に対する割合の和が一となるようなその線量又は濃度をもって、それぞれ同項第一号の線量又は同項第二号の濃度に代えるものとする。

※ 放射性物質によって汚染される物の表面の放射性物質の密度については、表面汚染密度
(α線を放出するもの:4Bq/cm2、
α線を放出しないもの:40Bq/cm2)の10 分の1


http://www.meti.go.jp/committee/materials2/downloadfiles/g100528a12j.pdf

外部放射線による実効線量と空気中の放射性物質による実効線量との合計が、三月間につき 一・三ミリシーベルトを超えるおそれのある区域 ( 年間、5.2 msv )

(α線を出さない放射性物質、40,000 Bq / m2 )





■ 放射線障害の防止に関する法律施行規則 (文部科学省 ・原子力規制庁)

http://www.scn-net.ne.jp/~scout/tokubetu/HOUREI/kokuji_94.html

第一条(外部被ばくに係る線量限度)

放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行規則 (以下「規則」という。)第十四条の三第一項第一号イの原子力規制委員会が定める線量限度は、実効線量が一年間につき一ミリシーベルトとする。




2 ・ 放射線被曝に係る、労働災害等の規定



危険な、放射性物質から、労働者の労働災害補償の為に、厚生労働省で、法律等が定められている。



■ 電離放射線に係る疾病の業務上外の認定基準について (労働安全衛生法 〜厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/09/dl/s0909-11c.pdf

5 白血病について
(1)本文記の第2の5の(1)の「相当量」とは、業務により被ばくした線量の集積線量が次式で算出される値以上の線量をいう。
0.5レム×(電離放射線被ぱくを受ける業務に従事した年数) 
(2)白血病を起こす誘因としては、電離放射線被ばくが唯一のものではない。また、白血病の発生が電離放射線被ばくと関連があると考えられる症例においても、業務による電離放射線被ばく線量に医療上の電離放射線被ばく線量等の業務以外の被ばく線量が加わって発生することが多い。このような場合には、業務による電離放射線被ばく線量が前記(1)の式で示される値に比較的近いものでこれを下回るときは、医療上の被ばく線量を加えて前記(1)で示される値に該当するか否かを考慮する必要がある。この場合、労働安全衛生法等の法令により事業者に対し義務づけられた労働者の健康診断を実施したために被ばくしたエックス線のような電離放射線の被ばく線量は、業務起因性の判断を行うに際しては業務上の被ばく線量として取り扱う。

 0.5レム ≒ 5ミリシーベルト




(外部被曝、内部被曝について


東電社員2人、内部被ばく率 約 80% (東京電力 / 経済産業省)
http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu11_j/images/110617w.pdf

30代社員は外部被曝が88ミリ・シーベルト、内部被曝が590ミリ・シーベルトで、 40代社員は外部被曝が103ミリ・シーベルト、内部被曝が540ミリ・シーベルト。2人共、内部被曝が80%を超えた。




※ ヨウ素 I-131、セシウム Cs-134・137共に、南東北〜関東全域に広く拡散。

福島〜郡山の都市部は、
放射線管理区域 とされる、40,000べクレル/平方M、及び 0.6マイクロシーベルト/時 (5ミリシーベルト/年) を、遥かに超過。 放射線管理区域相当の汚染は、風下側 250km 程度に及んだ。





■ 放射性物質(Cs−134・137) 拡散実測&空中線量 マップ (文部科学省 )
http://radioactivity.nsr.go.jp/ja/contents/7000/6289/24/203_0928.pdf




3 ・ 一般住民の、短期避難計画 + 長期避難計画の、未整備


日本政府は、2016年12月9日、全閣僚等で構成する、「原子力防災会議」を官邸で開き、九州電力玄海原発(東松浦郡玄海町)の重大事故に備えた佐賀、福岡、長崎3県の、避難計画を了承した。

議長の安倍晋三首相は「原発事故が起きた場合、国民の生命や財産を守るのは、政府の重大な責務」との表明をした。

■ 首相官邸・原子力防災会議

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/genshiryoku_bousai/


玄海地域原子力防災協議会(第1回)は、2016年11月22日に開催されている。玄海原発の避難計画策定 福岡など3県26万人が対象となっている (30km 圏)

■ 玄海地域原子力防災協議会

http://www8.cao.go.jp/genshiryoku_bousai/keikaku/02_genkai.html


しかしながら、住民を守る、長期避難計画 は、未だ定められていない。

福島事故においては、事故後1年以上経た時点で、放射線管理区域相当の汚染は、風下側 250km 程度に及んだ。


また、短期避難計画においても、個人個人が被曝したデータの測定は、ほぼ不可能な状態である。

即ち、原子力発電所の再稼動は、人格権に対する、重大な侵害行為である。




4 ・ 一般住民の、損害賠償等の、未整備



外部放射線による実効線量と空気中の放射性物質による実効線量との合計が、三月間につき 一・三ミリシーベルトを超えるおそれのある区域 ( 年間、5.2 msv )

(α線を出さない放射性物質、
40,000 Bq / m2

・・の地域は、一般人の立ち入りが禁止される、危険な 
「放射線管理区域」 に相当するが、未だ放射線汚染に対する、明確な損害賠償の規定は定めれれていない。



○ 日本弁護士連合会、損害賠償請求論 etc

http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/special_theme/data/manual03.pdf

Q41、政府による避難等の指示があった区域・地点ではないが避難等した場合、損害賠償請求が可能か。(自主的避難等)

被ばくの危険を回避するための避難等に合理性が認められれば、避難費用、一時立入費用、帰宅費用及び精神的損害、生命・身体的損害,検査費用(人)、就労不能等に伴う損害、営業損害,財物の価値の喪失又は減少等及び検査費用(物)などについて損害賠償請求が認められるべきである。(中略) 少なくとも、年間 5.2 ミリシーベルトを超える区域地点から子どもや妊産婦が避難等すること、及び当該避難等に必要な範囲の家族が共に避難等することは、合理的である。









○ 原子力規制委員会、放射線防護基準
http://www.nsr.go.jp/data/000144249.pdf
http://www.nsr.go.jp/data/000144250.pdf

敷地周辺の
公衆 の実効線量 の評価値が、発生事故当たり、約  5m Sv /y

(40,000 bq
/m2)  ベクレル


■ 電離放射線に係る疾病の業務上外の認定基準について (労働安全衛生法 〜厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/09/dl/s0909-11c.pdf

白血病 について

(1)本文記の第2の5の(1)の「相当量」とは、業務により被ばくした線量の集積線量が次式で算出される値以上の線量をいう。
0.5 レム× (電離放射線被ぱくを受ける業務に従事した年数) ※

 0.5 レム ≒  ミリ  シーベルト




5 ・ 地元同意の未成



伊万里、平戸、松浦、壱岐、4自治体の、再稼動反対が表明。

佐賀新聞

http://www.saga-s.co.jp/articles/-/180664


■ 原子力問題・調査特別委員会 (H 26.1106)

http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigirokua.nsf/html/kaigirokua/026518720141106002.htm


衆議院での、特別会議は、

内閣府大臣政務官、       福山 守
内閣府大臣官房審議官、    兵谷 芳康
内閣府政策統括官、       平井 興宣
原子力規制委員会委員長    田中 俊一

・・等を含め、100人弱の委員等が集まり、原子力政策の取り決めが行われた。


菅 直人、 元・内閣総理大臣らの、重要な質疑は、以下の通り

> ○ 菅(直)委員  ということは、先ほどのことと重ねて言うと、三十キロ圏の自治体が
> これでいいと言わないとスイッチは押せない、そういう理解でいいんですね。

>
> ○ 姉川参考人  地域防災計画が定まっていない、すなわち御理解いただいていない
> ということであれば、我々事業者としては、条件が十分でない、再稼働の条件が十分で
> ないというふうに認識しております。
>
> ○ 菅(直)委員 大変重要な返答を事業者からいただきました。


30km圏の自治体同意が、再稼動の要件。


即ち、玄海・原子力発電所の再稼動は、法的に不可能 ◆









(5-1)  原子力発電所事故の影響範囲等 (玄海・原発)
 


玄海・原子力発電所の場合、福岡大都市圏に隣接し、
250km圏 には、福岡、佐賀、長崎、大分、熊本、宮崎、鹿児島、山口、広島、島根、愛媛、計11県が、福島・原発事故基準、放射線管理区域・相当の、汚染危険地域に入る。

11県の総人口は、2000万人弱となり、また、韓国も危険エリアに入る。仮に全員が放射線管理区域相当の汚染地域に居住し続ければ、
白血病等、致死率の高い病気 の危険性が、高まることになる。

政府機関 (内閣府) において、長期・避難計画は、存在しない。



仮に、長期避難を、政府が実行した場合、国民平均所得を、年 400 万円とすると・・

400万円 x 2000万人 ≒ 
80 兆円 / 年額、となる。








(5-2)  原子力発電所事故の影響範囲等 (伊方・原発)
 


伊方・原子力発電所の場合、福岡大都市圏も遠くはなく、
250km圏 には、福岡、佐賀、長崎、大分、熊本、宮崎、山口、広島、島根、鳥取、岡山、愛媛、高知、香川、徳島、計15県が、福島・原発事故基準、放射線管理区域・相当の、汚染危険地域に入る。

15県の総人口は、3000万人弱となり、また、関西も含めると、5000万人弱という、膨大な被害者数となる。仮に全員が放射線管理区域相当の汚染地域に居住し続ければ、
白血病等、致死率の高い病気の危険性が、高まることになる。

政府機関 (内閣府) において、長期・避難計画は、存在しない。



仮に、長期避難を、政府が実行した場合、国民平均所得を、年 400 万円とすると・・

400万円 x 5000万人 ≒ 
200 兆円 / 年額、となる。



6 ・ 総括



原子力発電所事故に係る、住民の避難計画、及び損害賠償の規定等は、未だ整備されていない。


日本国民の全ては、
日本国憲法、第11〜13条、25条において、基本的人権 (人格権) が保障されており、人格権が損なわれる危険性が高い、現在の状況での原子力発電所の再稼動は、到底許されない。


即ち、原子力発電所の再稼動は、不可能な状態である。



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