○  準備書面 / 震源を特定せず策定する地震動、他  (2018.0307)




0 ・ はじめに 〜 安全基準策定の意義 ・目的等 



一度でも大事故を起こせば、多くの生命・財産に重大な損害を与える設備等を運用する場合、その安全管理は、国家の直属機関がそれ相当の高度な法規、科学的見識、目的意識を持って為されて然るべきである。

原子力発電所の場合、大事故を起こせば、広範囲の国土が汚染され、日本国民の生命・財産
の損失 は、天文学的数値になるのは明らかであるが故に、最高品質の安全基準 が求められる。


その理念に基づき、原子力規制委員会においては、平成24年11月19日から、平成25年6月6日に渡り、
13回に及ぶ会議が行われた。

■ 原子炉施設の地震・津波に関わる規制基準に関する検討チーム (原子力規制委員会)

http://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/yuushikisya/shin_taishinkijyun/index.html




1 ・ 震源を特定せず策定する地震動 (規制基準に関する検討チーム
 第 8 回 会議、他)


平成 25年 1月29日、第 8 回・原子力規制委員会において、地震及び津波に関わる新安全設計基準が示めされた。参考文献として、「活断層の長期評価手法」 報告書 (地震調査研究推進本部 〜日本政府)が提示された (8 p)

地震及び津波に関わる新安全設計基準  (原子力規制委員会) 8p
http://www.nsr.go.jp/data/000050703.pdf


■ 「活断層の長期評価手法」 報告書 (地震調査研究推進本部 〜日本政府)

http://www.jishin.go.jp/main/choukihyoka/katsu_hyokashuho/honpen.pdf


地震調査研究推進本部、平成22年11月25日、「活断層の長期評価手法」 報告書、においては、先ず
29(33)ページにおいて、「
陸域の震源断層を予め特定しにくい地震 の最大マグニチュード」 として、
玄海・原子力発電所においては、M 6.8 〜7.0 (Mw 6.5 〜6.8) を指定している。

57(61)ページにおいては、地表の証拠からは活動の痕跡を認めにくい地震の規模として、
最小 M 6.8
(Mw 6.5〜6.6
 前後相当) と規定している。

60(64)ページにおいては、地表地震断層が不明瞭な地震 (M 6.8 以上)として、近代地震観測が開始された、1900年代以降は、
20 地震 を明示している。


1900年、宮城県北部地震   (M 7.0)
1909年、妹川地震       (M 6.8)
1914年、鹿児島県中部地震 (M 7.1)
1914年、秋田県仙北地震   (M 7.1)
1922年、千々石湾地震     (M 6.9)
1925年、北但馬地震      (M 6.8)
1931年、西埼玉地震      (M 6.9)
1939年、男鹿地震       (M 6.8)
1948年、福井地震       (M 7.1)
1961年、北美濃地震      (M 7.0)
1963年、越前岬地震      (M 6.9)
1978年、伊豆大島近海地震  (M 7.0)
1984年、長野県西部地震    (M 6.8)

1995年、兵庫県南部地震    (M 7.3) ※ 緒論あり
2000年、鳥取県西部地震    (M 7.3)
2004年、新潟県中越地震    (M 6.8) ※ 緒論あり
2005年、福岡県西方沖地震   (M 7.0)

2007年、能登半島地震      (M 6.9)

2007年、新潟県中越沖地震   (M 6.8)

2008年、岩手・宮城内陸地震  (M 7.2)


地震調査研究推進本部 (日本政府・文部科学省) 2010/1125

http://jishin.go.jp/main/choukihyoka/katsu_hyokashuho/honpen.pdf




2 ・ 震源を特定せず策定する地震動 (規制基準に関する検討チーム
 10 回 会議)


平成 25年 3月22日、原子力規制委員会において、第
10回 発電用軽水型原子炉施設の地震・津波に関わる新安全設計基準に関する検討チーム、の会議が行われた。

その中で、震源を特定せず策定する地震動について、以下の解説がなされている。(8ページ)





11ページに、22地震が指定。内 
M 6.8 (Mw 6.5〜6.6 前後相当 ) 以上の地震は、8 つだった。


( 正式・22 地震 リスト)






原子力規制委員会 ・ 2013/0322

http://www.nsr.go.jp/data/000050725.pdf


25ページ、地震の活動領域を予測することが可能か? の検証において、以下 4 地震は困難と判定した。

2000年、鳥取県西部地震    (Mw 6.6)
2004年、新潟県中越地震    (Mw 6.6) 
2005年、福岡県西方沖地震   (Mw 6.6)
2007年、新潟県中越沖地震   (Mw 6.6)



39ページ、擬似応答スペクトルの重ね書き (地表) では、22地震の水平地震動の最大は、
約 2000 ガル
弱 (0.02s) となっている。





原子力規制委員会 ・ 2013/0322

http://www.nsr.go.jp/data/000050725.pdf


1995-2013 年、日本国内で発生した、内陸〜境界 の 22地震 (Mw 5.0-6.9) の地震動、応答スペクトル解析において、玄海・川内等の基準地震動となった、
北海道・留萌地震 (Mw 5.7) の地震動強度は、ごく平凡なものであり、これを基準とすると、過小評価 になるのは明白である。




3 ・ 震源を特定せず策定する地震動 (規制基準に関する検討チーム
 12 回 会議)


平成 25年 4月5日、原子力規制委員会において、第
12回 発電用軽水型原子炉施設の地震・津波に関わる新安全設計基準に関する検討チーム、の会議が行われた。

基準地震動及び耐震設計方針に係る審査ガイド (案) (通称・
地震ガイド ) も提示された。

この中で、3月22日のリストの内、

2004年、新潟県中越地震    (Mw 6.6) 
2005年、福岡県西方沖地震   (Mw 6.6)
2007年、新潟県中越沖地震   (Mw 6.6)


・・等、地震の活動領域を予測することが困難とされた地震が、
理由なく不正に削除 された。

これは作為的、かつ極めて危険な行為である。


不正削除の理由は明瞭である。

Mw 6.6
前後迄、地震動レベルは、およそ地震規模 Mw の1/3 乗に比例する為に、その境界レベルの地震を排除すれば、電力事業者に有利な数値 (不正値) を作ることが出来る。

平成 25年 1月29日、第 8 回・原子力規制委員会において、地震及び津波に関わる新安全設計基準の参考文献として、「活断層の長期評価手法」 報告書 (地震調査研究推進本部 〜日本政府)が提示された(8 p) ものの、その後削除されたのも、同様の不正行為である。

最終的に、震源を特定せず策定する地震動で採用された、
北海道・留萌地震 (Mw 5.7) は、標準地震レベル、
Mw 6.6 の、僅か 
1/20 の地震規模であった。


(不正 ・16 地震 リスト)






原子力規制委員会 ・ 2013/0405
http://www.nsr.go.jp/data/000050736.pdf




4 ・ 震源を特定せず策定する地震動  チーム
 第 1 回 会議


原子力規制委員会においては、平成24年11月19日から、平成25年6月6日に渡り、行なわれた
原子炉施設の地震・津波に関わる規制基準に関する検討チームは、特に、震源を特定せず策定する
地震動の策定方法に不正があった為 に、基本段階からやり直すことになった。


■ 震源を特定せず策定する地震動に関する検討チーム (原子力規制委員会)

http://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/yuushikisya/tokuteisezu_jishindo/index.html

第1回会合、平成30年1月25日 (原子力規制委員会)

http://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/yuushikisya/tokuteisezu_jishindo/00000003.html

・・において、地震学的に正しい、策定指針が示された。


「震源を特定せず策定する地震動に関する検討チーム」の主な検討課題

http://www.nsr.go.jp/data/000216989.pdf

1 p
震源を特定せず策定する地震動 → 「地表地震断層が出現しない可能性がある地震」 へ

2 p 
中央防災会議 (2004)
地震に対応する活断層が地表で認められない地震、
Mw 6.6

内閣府 (2005)

全国どこでも起こりうる直下の地震、Mw 6.6


地震調査研究推進本部 (2014)
陸域の震源断層を予め特定しにくい地震、Mw 6.8〜6.9

3-4 p 
観測記録の統計処理の方法

(1)震源距離の補正について
(2)地盤物性の補正について

(3)地震規模の補正について


5 p 
第4回以降の会合については、観測記録の統計処理の検討状況を踏まえ、今後設定
することとし、夏頃を目処に検討チームのとりまとめを行う。

・・等が示された。


平成 25年 4月に、不正に削除された、日本国内で発生した、内陸〜境界 22地震 (Mw 5.0-6.9) の地震動リストも、およそ5年ぶりに復活した。

平成 25年 3月22日、原子力規制委員会において、第10回 発電用軽水型原子炉施設の地震・津波に関わる新安全設計基準に関する検討チーム、の会議が行われた。震源を特定せず策定する地震動について、の地震リストが、そのまま再公開された。


( 正式 ・22 地震 リスト)






原子力規制委員会 ・ 2018/0125
http://www.nsr.go.jp/data/000216732.pdf




5 ・ 震源を特定せず策定する地震動  チーム
  2 回 会議


第2回、会合においても、貴重な分析資料等が公開された。

第1回会合、平成30年2月22日 (原子力規制委員会)

http://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/yuushikisya/tokuteisezu_jishindo/00000004.html


標準応答スペクトル
の策定に係る対象地震の選定 
http://www.nsr.go.jp/data/000221717.pdf

全国共通に考慮すべき「震源を特定せず策定する地震動」について、標準応答スペクトルの策定に必要な対象地震を収集整理し、諸条件に見合う地震を選定する。

〇選定方針(方法)

防災科学技術研究所F-netの震源メカニズム解検索により、「0次地震リスト」を作成する。 

【条件】

観測期間: 2000年1月1日〜2017年12月31日
震源深さ: 0〜20km (気象庁)
地震規模: Mw 5.0〜6.9 (F-net の震源メカニズム情報)

地震調査研究推進本部地震調査委員会(2014)による「陸域の震源断層をあらかじめ特定しにくい地震の領域」区分を参考に、地震の震央がおおむね大陸〜大陸棚周辺に位置する内陸地殻内地震を抽出し、「0.5次地震リスト」を作成する。

防災科学技術研究所KiK-netの地震検索により、「1次地震リスト」を作成する。


・・とされた。

なお、統計処理の対象となる地震規模は、Mw 5.0〜6.6、とされた。





原子力規制委員会 ・ 2018/0222
http://www.nsr.go.jp/data/000221717.pdf


通称 「地震ガイド」 で、削除された、

2004年、新潟県中越地震    (Mw 6.6) 
2007年、新潟県中越沖地震   (Mw 6.6)


等の、強振動の地震が網羅されて、より正しい基準地震動の策定が見込まれる。




6 ・ 震源を特定せず策定する地震動、 その標準基準



基準地震動シミュレーション策定における、最初の決定事項は、リスク確率/ 年の設定であり、
発生確率、
 10万年 / 回  ( 10-5) が適切である。100 万炉年に1回 程度が、クリフエッジに相当する。


○ 安全目標  (新規制基準) 

放射性物質による環境への汚染の視点も取り込むこととし、事故時の137Csの放出量が100TBq を超える事故の発生確率は、100 万炉年に1回 程度を 超えないように抑制されるべきである。

原子力規制委員会

https://www.nsr.go.jp/data/000047435.pdf

内閣府・原子力委員会

http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2014/siryo16/siryo1-1.pdf


「震源を特定せず策定する地震動に関する検討チーム」の主な検討課題

http://www.nsr.go.jp/data/000216989.pdf

2 p 内閣府 (2005)

全国どこでも起こりうる直下の地震、Mw 6.6


中央防災会議 (2004)
地震に対応する活断層が地表で認められない地震、
Mw 6.6

3-4 p 
観測記録の統計処理の方法

(1)震源距離の補正について
(2)地盤物性の補正について

(3)地震規模の補正について


を、計算に入れれば・・


留萌地震 Mw 5.7 (軟地層) → Mw  6.6 (硬地層) 規模差約 
20倍

620 x ( 20^1/3 )  1600 ガル

前後が、適正な
基準地震動 となる。(0.02s) ※  


防災科学技術研究所 (文部科学省) (地震動、規模 Mo 、1/3 乗)

http://www.kyoshin.bosai.go.jp/kyoshin/gk/publication/2/II-3.5.html

川内 ・玄海の地層構造から鑑みると、断層サイズ、20x15km。平均ずれ量 1 m 前後が適正。即ち

Mw ≒ log 32 SD +7.0  ≒
  Mw 6.6  前後。


基準地震動
 (震源を特定せず策定する地震動) は、「仮想的ではない、Mw 6.5 前後 の地震」 から、地域的な特徴を踏まえて、対象となる地震の検討 (シミュレーション) が必要となる。

※、留萌地震の地震動は、水平加速度 約 1100gal /0.02s 、横ずれ+硬地層でシミュレート後、620gal




7 ・ 基準地震動、個別論点 



2007 年・新潟中越地震、2007年・能登半島地震、そして1995・阪神大地震 (兵庫県南部地震) etc においても、従来の基準地震動を大きく超える応答スペクトル、
500 カイン cm・s 前後が記録されている。

玄海・川内原子力発電所等の基準地震動 (SS−1、及びSS−2 等) の、約
 4 倍 の数値であり、重大事故の基準である クリフエッジ 比ですら、2倍以上で、極めて危険であることが明確である。

最大地震動は、
2500 ガル 前後に到達している。(周期、1〜2秒波)

即ち、
1600 ガル ( 0.02s) 基準 は、日本国内全ての地域において適用される。


(備考) 国土交通省

http://www.kenken.go.jp/japanese/contents/topics/20110311/pdf/20110311saigai-005.pdf








原子力規制委員会 (九州電力、275 p)

http://www.nsr.go.jp/data/000163910.pdf


※ 周期1〜2秒波において、地盤による変化は僅かである。




(備考) 基準地震動、策定の経緯

2010年 9月〜、原子力発電所 (内閣府・原子力安全委員会)における、基準地震動の改定が始まった。

それまでの旧い、基準地震動シミュレーションから、1995〜2008年の内陸性 (直下型) 地震のデータを用いての新しい基準で、東京大学・地震研究所、及び地震調査研究推進本部 (文部科学省) 等へ、地震データ等の提供を求めた。なお、平成以降の内陸型 ・5大地震 (
阪神、新潟中越、新潟中越沖、能登半島、福岡西方沖、鳥取、岩手内陸) は全て含まれていた。

東京大学・地震研究所
http://www.eri.u-tokyo.ac.jp/YOTIKYO/kyogikai_zk/h22-2/h22-2-11.pdf




8 ・ 総括


「震源を特定せず策定する地震動に関する検討チーム」 (原子力規制委員会)

http://www.nsr.go.jp/data/000216989.pdf

2 p 
中央防災会議 (2004)
地震に対応する活断層が地表で認められない地震、
Mw 6.6

内閣府 (2005)

全国どこでも起こりうる直下の地震、Mw 6.6



玄海 ・原子力発電所の基準地震動は、北海道 ・
留萌地震、であるが、地震規模は、Mw 5.7 と小さく
正規 Mw 6.6 の 1/20 程度) 

原子力規制委員会 ・ 2013/0322

http://www.nsr.go.jp/data/000050725.pdf

620 x ( 20^1/3 )  1600 ガル


また、基準地震動の策定、全般に関しても、基本から検討する必要がある。

即ち、
現行の基準地震動は、不適切 なのは明らかである。


620ガル基準では、平成以降に複数発生した強地震動、
1600 ガル / 周期 0.02 秒
相当の地震波による、原子力発電所の、重大事故を防ぐことは不可能である。





火山 ・ 準備書面  




原発ノート