○ 準備書面 / 火山関連リスク  (安全目標 etc)   (2018.0311)




0 ・ はじめに 〜 安全基準策定の意義 ・目的等 



一度でも大事故を起こせば、多くの生命・財産に重大な損害を与える設備等を運用する場合、その安全管理は、国家の直属機関がそれ相当の高度な法規、科学的見識、目的意識を持って為されて然るべきである。

原子力発電所の場合、大事故を起こせば、広範囲の国土が汚染され、日本国民の生命・財産
の損失 は、天文学的数値になるのは明らかであるが故に、最高品質の安全基準 が求められる。




1 ・ 原発事故リスク、定量評価基準 〜 安全目標



大規模・火山噴火のモニタリングに関連する、安全目標は、国民の生命財産を保護する為に、定量的な適合性を示す必要がある。 
内閣府 ・ 原子力委員会 にて、2013〜2014年にかけて、明文化された。

即ち、大規模な原子力発電所事故の確率を、火山及び、地震・津波をも含めた、外部事象、及び内部事象 (テロ・戦争除く)を、
100万炉年/回、以下にする、安全目標 の数値を、審査する必要がある。※


■ 内閣府 ・ 原子力委員会 平成 25年
 (2 p) 100万炉年/回
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2014/siryo16/siryo1-1.pdf

平成 27年 4月22日、安全目標は確認されず。 (田中・原子力規制委員長)

http://www.nsr.go.jp/data/000104750.pdf


九州電力 (佐賀県庁) 平成29年

http://www.pref.saga.lg.jp/kiji00353240/3_53240_35620_up_83q42652.pdf

地震・津波、内部事象、リスク定量的評価。
 火山等は、定量評価無し。(4 p)


平成30年、3月7日、原子力規制庁・火山モニタリング

http://www.nsr.go.jp/data/000222268.pdf

> 巨大噴火によるリスクは、社会通念上容認される水準であると判断できる。


現時点において、
火山の安全目標が数値化されていない、規制基準審査は不正である。




※ 安全目標の審査は・・

■ 原子炉等規制法

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S32/S32HO166.html

(発電用原子炉施設の安全性の向上のための評価)

第四十三条の三の二十九  発電用原子炉設置者は、原子力規制委員会規則で定めるところにより、その発電用原子炉施設における安全性の向上を図るため、原子力規制委員会規則で定める時期ごとに、当該発電用原子炉施設の安全性について、自ら評価をしなければならない。

・・で、国内法的に定められている。




2 ・ 火山ガイドの趣旨、重要論点



原子力発電所の火山噴火リスクの判断基準となる公文書として、原子力規制委員会の火山ガイドがある。


当該、原子力発電所から、
半径・160km 以内から抽出された火山の、大規模カルデラ噴火等、即ち
VEI ・7 規模 (噴出量、100〜1000km3) が、
原子力発電所運用期間中に影響を及ぼす可能性が充分小さいか? の個別評価に対し、No  (設計対応不可能) とされれば、立地不適とされ、運用することは出来ない。


設計対応不可能な火山事象の評価に関し、

・ 噴火の規模を推定できない場合は、検討対象火山の
 過去最大の噴火規模 とする。
・ いずれの方法によっても影響範囲を判断できない場合は、
国内既往最大到達距離を 影響範囲 とする。

・ 設計対応不可能な火山事象が、原子力発電所に到達する可能性が、充分に小さいと評価出来る場合
  は、 火山活動のモニタリングを実施する

定期的評価に関し

・ 火山活動状況のモニタリング結果の評価は、第三者の助言を得る方針とすること
・ モニタリングにより、設計対応不可能な火山事象の予兆が捉えられた場合、適切な対処方針が確立
  されていること


原子力規制委員会、火山ガイド

http://www.nsr.go.jp/data/000050376.pdf




充分小さいか? の定量的基準は、
内閣府 ・ 原子力委員会 にて、明文化された 安全目標

即ち、大規模な原子力発電所事故の確率を、火山及び、地震・津波をも含めた、外部事象、及び内部事象 (テロ・戦争除く)を、
100万炉年/回以下が適切である。

なお、玄海・原子力発電所、及び、伊方・原子力発電所、川内・原子力発電所において、敷地内に、阿蘇カルデラの巨大噴火(VEI 7 超) 等が到達する確率は、
100万炉/年 の基準で、約 96% ※ となり、火山ガイド、安全目標(原子炉等規制法) の趣旨に従えば、当然に廃炉となる。


 超巨大カルデラ噴火 (500km3<) が、無作為に、30万年に1回の確率で、指数分布 的に発生すると仮定した場合、100万年後迄に、次の超巨大カルデラ噴火が発生する確率は、約 96 %となる。




VEI ・6 規模 (噴出量、10〜100km3)の噴火でも、降下火砕物の気中濃度によって故障が発生する可能性が高いことから、原子炉施設又はその付属設備への影響を評価し、必要な場合には対策が取られ、安全機能が担保されることが求められる。




3 ・ 阿蘇カルデラ、噴火リスクの定量分析等



玄海・原子力発電所、及び、伊方・原子力発電所、川内・原子力発電所において、最大級の警戒が必要なのが、阿蘇カルデラの巨大噴火(VEI 7) による、巨大な火砕流等である。

阿蘇火山の活動は約 30万年前に始まったが、現在迄に、4回の大噴火があった (古い方からAso-1,Aso-2,Aso-3,Aso-4 ) それぞれの噴火で、降下火砕物、そして大火砕流、火砕サージ等が、四方に広がった。Aso-4火砕流は阿蘇火山の周囲に広い台地を作り、谷沿いに九州島の東・北・西の海岸に達し、一部は海を越えて天草下島や山口県の秋吉台等にも分布している。 
(最大到達距離 約 160 km 超)


■ 産業技術総合研究所 (経済産業省) 阿蘇カルデラ 噴火
 
https://gbank.gsj.jp/volcano/Act_Vol/aso/text/exp04-1.html





阿蘇カルデラ火砕流 (Aso-4) の最大到達距離は、山口県萩市付近に及び、距離は
160km 超。

原子力規制委員会から調査依頼 (火山影響評価に係わる技術的知見の整備) を受けた、産業技術総合研究所の宝田・星住氏の論文 (日本火山学会 ・2016) においても、同様の調査事実となっている。

火砕流の範囲は、ほぼ円形となっている。9万年間で、周辺部のテフラ (火山堆石層)はかなり侵食されて、判明がつかない部分も多い。


火砕流の堆積構造と流動堆積機構 (日本火山学会・2016)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/vsj/2016/0/2016_26/_article/-char/ja/




阿蘇カルデラの巨大火砕流のサイクルは、過去4回の巨大噴火(VEI 7) から鑑みると、後カルデラ噴火が終わり、次のサイクルに入る直前と推測される。

玄海・原子力発電所、及び、伊方・原子力発電所、川内・原子力発電所において、敷地内に、阿蘇カルデラの巨大噴火(VEI 7) 等が到達する確率は、
100万炉/年 の基準で、約 96% ※ となり、火山ガイド、安全目標(原子炉等規制法) の趣旨に従えば、当然に廃炉となる。


原子力規制委員会、玄海・原子力発電所 

http://www.nsr.go.jp/data/000163920.pdf





 超巨大カルデラ噴火 (500km3)が、無作為に、30万年に1回の確率で、指数分布 的に発生すると仮定した場合、100万年後迄に、次の超巨大カルデラ噴火が発生する確率は、約 96 %となる。









■ 火山防災マップ作成指針 (内閣府 ・国土交通省・気象庁 etc)

http://www.bousai.go.jp/kazan/shiryo/pdf/20130404_mapshishin.pdf

大規模火砕流 (噴出量100億m3〜)の実績は、小さな山や谷とは関係なく、全方向、広範囲に流下。(48p)







阿蘇カルデラ噴火、シミュレーション等において、玄海・原子力発電所、伊方・原子力発電所、川内・原子力発電所、共に火砕流が到達する可能性がある。

四国電力 (原子力規制委員会)

http://www.nsr.go.jp/data/000100925.pdf




4 ・ 阿蘇カルデラ、現在のマグマ量、の推測



阿蘇 4 ・巨大カルデラ噴火 (噴出量、約 600km3) より、約 9万年が経過して、現在の阿蘇カルデラの地下には、大量のマグマが蓄積していると予想される。

気象庁・日本活火山総覧においても、公的見解として、(1207-1208)

深度 4-11 km
深度 10-24 km

縦長の大規模マグマの可能性が指摘されている、それぞれに地震波の低速度領域が顕著に見られる。 

深度 4-11 km を、楕円体として計算すると、1.33 x3.14 x3.5 x2.5 x2.5x 0.3 (融解率) 
≒ 30 km3

(噴出量は、約 2倍、60 km3 前後)

深度 10-24 km を含めれば、それを超える、大量なマグマの蓄積が予想される。


■ 気象庁・日本活火山総覧 (阿蘇カルデラ)
 1207-1208
http://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/STOCK/souran/main/84_Asosan.pdf







図84-14、赤マグマ表示  
 を、概算計算すると、 3.14 x2.5 x2.5 x1.5 ≒ 30km3 

(噴出量は、約 2倍、60 km3 前後)


阿蘇火山の地殻変動とマグマ溜まり (日本火山学会 2006)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/kazan/51/5/51_KJ00004408605/_article/-char/ja/





四国電力 (原子力規制委員会)

http://www.nsr.go.jp/data/000100925.pdf


直径4km、球体マグマ量、 1.33x2x2x2x3.14 ≒ 30km3 → 噴出量約
 60km3 
旧基準 (噴出量約 6km3) の、
約 10 倍差  (32-35p)


阿蘇火山中央火山丘山体の3次元地震波速度構造 (日本火山学会 2003)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/kazan/48/3/48_KJ00001053238/_pdf

1212 においても、低周波地震のデータにより、深度約 10−30km のマグマが示唆されている。
通常の火山性地震等は、地表傍から、発生が確認されている (1211)




なお、原子力規制委員会から調査依頼 (火山影響評価に係わる技術的知見の整備) を受けた、産業技術総合研究所の宮城・星住氏の論文 (日本火山学会・ 2016) においては、
ポストカルデラ噴出物の珪長質マグマの深度、地下16−24km、カルデラ噴火前の苦鉄質マグマは、地下12−36kmとしている。

阿蘇1の珪長質マグマの深度、地下20−28kmと比較して、近似するとの研究論文となっている。

阿蘇カルデラのポストカルデラ噴火のマグマ供給系 (日本火山学会・2016)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/vsj/2016/0/2016_95/_article/-char/ja/


地震津波技術評価検討会 (原子力規制委員会) の研究では、
阿蘇1 噴火直前のマグマ深度、地下8−28km と比較すると、珪長質マグマの深度は、それ以外のマグマよりも深い位置となっている。

地震津波技術評価検討会 (原子力規制委員会)
 5p
http://www.nsr.go.jp/data/000149395.pdf




以上、気象庁、原子力規制委員会等の、
公文書に記載された推定マグマ噴出量は、膨大 低層のみで、約 30km3) であり、カルデラ超巨大地震が、近年中に発生する確率が高いことを示している。

また、阿蘇1 の噴火マグマ位置は深く、
浅い位置になくとも、大規模カルデラになることが判明している。




5 ・ 内閣府・火山防災会議、その提言等



○ 内閣府・火山防災会議 (平成25年)

http://www.bousai.go.jp/kazan/kouikibousai/

・・において、大規模火山防災について言及されている。


大規模火山災害時には、国、都道府県、市町村の各災害対策本部等の合同会議を開催し、
相互に連携して災害応急対策を検討することが有効であるが、その開催や運営等の具体的な
仕組みが確立されていない。(10p)

(大規模噴火を超える巨大噴火)
我が国では、これまでおよそ1万年に1回の頻度で、火砕流や降灰等が日本列島の広い範囲
に及び、文明の断絶にもつながりかねないほど深刻な被害をもたらす巨大噴火(大型のカルデラ
を形成する噴火)が発生してきたが、この巨大噴火に関する知見は非常に限られている。

また、噴火予知や対応策について研究を進める体制も整っていない。


○ 内閣府・大規模火山災害対策への提言

http://www.bousai.go.jp/kazan/kouikibousai/pdf/20130516_teigen.pdf


・・原子力発電所における、火山リスクに対処する為には、今後多くの検討課題をこなす必要がある。




6 ・ 原子力規制委員会、火山活動モニタリング検討チーム 、決定事項等



原子力規制委員会において、平成26年8月25日から、平成27年7月31日に渡り、7回に及ぶ会議が行われた。 専門委員は、火山学の専門家を中心に、9名選出された。

■ 原子力規制委員会 ・ 原子力施設における火山活動のモニタリングに関する検討チーム 

http://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/yuushikisya/kazan_monitoring/index.html


平成 27年 7月31日、原子力規制委員会において、第7回 原子力施設における火山活動のモニタリングに関する検討チーム、の会議が行われた。

会議において、石渡委員を含む原子力規制委員会9人全員による、
国家規模の火山監視組織が整備される迄の、実質的な、再稼動停止勧告がなされた。

即ち

モニタリング方法の具体化等

検討チーム会合での意見を踏まえ、以下の事項について、

原子力規制委員会をはじめ、国全体として検討していくべきである。


○火山活動やマグマ溜まりを調査するための、最新の探査手法、解析手法の適用
○モニタリング(観測・監視・評価)の体制や取り組み方
○モニタリング結果の検証と基準への反映方法
○巨大噴火に発展する可能性を考慮した処置を講ずる判断の目安及びその設定・改定の考え方

原子力規制委員会 ・ 2015/0731

http://www.nsr.go.jp/data/000116982.pdf


2〜3 ページ
現代の火山モニタリング技術で、巨大噴火の発生に至る過程を捉えた事例は未だ無く、実際にどのような異常が観測されるかの知見は未だ無い状況である。このような現状において、
巨大噴火の時期や規模を正確に予知するだけのモニタリング技術はないと判断される。

5 ページ
Druitt(ドルイット)論文は、世界のカルデラ火山一般について述べたものでは無い。よって、普遍性のある事象として用いるには他の火山での検証が必要である。

14 ページ
(日本火山学会による、巨大噴火モニタリングの提言〜 
国家規模の火山監視組織 

15 ページ
新しい組織の関係整理(原子力施設での火山モニタリングの体制案)

助言組織 → モニタリング結果の妥当性チェック、新たな基準の設定勧告
内閣府等 → 調査・研究成果や防災面における情報交換


原子力規制委員会 ・ 2015/0731

http://www.nsr.go.jp/data/000116984.pdf




第1回 ・会合議事録

(石原 ・名誉教授)

11-12ページ

19世紀には、大きな巨大地震が二つ起こっています。
インドネシアのタンボラ火山、それからクラカタウですね。それぞれ、当時のいろいろな資料を見ますと、噴火の2年前、あるいは100日前に前駆噴火 が始まったというふうにされております。(中略) 前駆現象というのは何らかの異変が起こったからといって、巨大噴火になるとは限らない。

巨大噴火が起きる10年、20年前にわかるという発言もお聞きしますけれど、実際はそう単純ではない。

ラバウルの例を言いますと (中略) 活動が低下したところに突然に有感地震は始まって、1日あまりでもって噴火に至ったという例があります。


原子力規制委員会 ・
火山モニタリング議事録
http://www.nsr.go.jp/data/000049167.pdf




7 ・ 原子力規制委員会、降下火砕物の影響評価検討チーム 、決定事項等



平成 28年 10月17日、原子力規制委員会 ・ 原子炉 火山部会の第1回目の協議で出された、火山灰による大規模停電の問題は、その後保留された状態だったが、平成29年3月〜、正式な検討チームとして開催された。

原子力規制委員会 ・ 降下火砕物の影響評価に関する検討チーム
http://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/yuushikisya/koukakasaibutsu/index.html


原子力規制委員会 ・ 降下火砕物の設定等  (9p)
https://www.nsr.go.jp/data/000193534.pdf







■ 原子力規制委員会 ・ 降下火砕物 (電気事業連)
http://www.nsr.go.jp/data/000193536.pdf

第3回、会合資料 (電気事業連) にて、玄海・原子力発電所、降下火砕物の参考値、3.8g/m3、の値が設定され、追加工事の目安となった。




■ 降下火砕物の影響評価に関する検討チーム (原子力規制委員会) 平成29年7月19日
https://www.nsr.go.jp/data/000212556.pdf


2.検討チームの取りまとめ (1p)

検討チームは、公開の会合において、降下火砕物に関する外部専門家、電力中央研究所の研究者及び事業者から意見を聴取し、議論を行った。

会合での議論を踏まえ、VEI5〜6規模(噴出量で1〜100km3未満)の噴火による降下火砕物の気中濃度によって共通要因故障が発生する可能性があることから、設計あるいはその後の運用で対策が採られていることを確認するため、「機能維持評価用参考濃度」の考え方やこれに基づく規制上の要求に関して、添付1のとおり「気中降下火砕物濃度等の設定、規制上の位置付け及び要求に関する基本的考え方」を取り
まとめた。

3.今後の予定  (1p)

添付1を基に、必要に応じて事業者に対し意見を聴取した上で、具体的な規則等の案を策定し、原子力規制委員会に諮ることとしたい。


・・ 原子力規制委員会、降下火砕物の影響評価検討チームは、平成29年12月現在、その後の審議が停止しており、玄海・原子力発電所の審議も、事実上停止した状況にある。





8 ・ 原子力規制委員会 ・ 原子炉火山部会 (検討チーム
 第1回〜2回) 決定事項等


平成 27年 7月31日、原子力規制委員会において、第7回 原子力施設における火山活動のモニタリングに関する検討チーム、の会議が行われ、石渡委員を含む原子力規制委員会9人全員による、
国家規模の火山監視組織が整備 される迄の、実質的な、再稼動停止勧告がなされた。


その後、1年強の空白期間を経て、平成28年10月17日、原子力規制委員会 ・ 原子炉 火山部会の第1回目が開催された、専門委員は、火山学の専門家を中心に、6名選出された。

■ 原子力規制委員会 ・ 原子炉 火山部会

http://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/roanshin_kazan/index.html


第1回会議では、専門委員から、現在の規制基準に対する否定的な見解が出された。

34〜35 ページ (小林哲 会長)

ただし、その噴火が本当に大規模噴火になるかどうかというのは、なかなかわからないようです。例えばピナトゥボでも、あそこで前線で活躍していたクリス・ニューホールという人が言っているんですけれども、彼も大規模噴火が起こるということは確信を持っていたと、しかし、
大規模噴火の本当にカルデラ噴火になる数日前ぐらいですか、あの辺から非常に噴火の勢いが激しくなって、そのころから本当にこれは大規模な噴火になると確信したというふうに書かれたものがあります。そういうことで、あそこで前線でいろいろデータを集めて、そして観測していた人たちでも、本当にそれがカルデラ噴火のようなのものになるかどうかというのは、本当に直前になってみなければわからないという、そういう問題もあることは事実です。


40 ページ (村上 部会長代理)

直接気象庁と国土地理院ではないのですけれども、関連してなんですが、噴火直後に、恐らく火山灰の送電線への影響だったと思うのですけれども、
大規模な停電が起きております。これは、たまたま民家のほうに対する電力供給に支障があったということなんですけれども、火山灰でこういった障害が起きるという貴重なデータだと思いますので、ぜひ、九州電力さんには追加の調査を継続していただいて、


原子力規制委員会 (規制庁) ・ 2016/1017

http://www.nsr.go.jp/data/000172324.pdf




第2回会議でも、専門委員から、現在の規制基準に対する否定的な見解が出された。


31 ページ (小林哲 会長)

地質学的にそういうのを調べると、
カルデラ噴火の前というのは、どちらかというと静かなんですね。(中略) 場合によっては数百年という間は非常に静かなことがある。ですから、こういうふうにアクティブになっていくから、それを基準に何か考えるという考え方そのものが、どうも違っているんじゃないかと。


原子力規制委員会 (規制庁) ・ 2017/1101

http://www.nsr.go.jp/data/000211570.pdf




9 ・ 玄海・原子力発電所、新規制基準審査 (原子力規制庁) の、誤認事項等



平成28年11月9日、九州電力・玄海原子力発電所 3−4号炉の、設置変更許可に関する審査書が公示
された。

V-4.2.2 火山の影響に対する設計方針においても、多くの事実誤認が散見された。

65 ページ

> VEI-7 以上の噴火時のマグマ溜りは少なくとも地下10km以浅にあると考えられること、Druitt et al.(2012)
> がVEI-7 以上の噴火直前の100年程度の間に急激にマグマが供給されたと推定している知見、及び
> 地球物理学的調査の情報から、カルデラの地下構造を推定した知見等に基づき、国土地理院の電子基準
> 点間基線距離の変化率からマグマ供給の状態を推定し、また、階段ダイアグラムに基づく噴火ステージの
> 評価を行うことで、現在のマグマ溜まりがVEI-7 以上の噴火直前の状態では無いと評価し、阿蘇カルデラ
> 鹿児島地溝のカルデラ及び喜界カルデラにおける運用期間中のVEI-7 以上の噴火の活動可能性は
> 小さいと評価した。


(備考) 平成28年、原子力規制委員会

https://www.nsr.go.jp/data/000169503.pdf




上記、原子力規制庁の見解には、多くの過誤が含まれている。正しくは

(1) Druitt et al.(2012) 論文は、原子力規制委員会 ・火山活動モニタリング検討チーム が否定。※
(2) カルデラの地下構造に関し、地下10km以浅に、大量のマグマが存在。 (阿蘇カルデラ 〜気象庁) 
(3) 階段ダイアグラムに基づく噴火ステージでは、阿蘇カルデラは噴火直前と判定される。
(4) 1−3 の事実により、運用期間中の、
阿蘇カルデラのVEI 6-7 の噴火可能性は大きい。


また、阿蘇カルデラのVEI-7 以上の噴火活動が生じた場合、
半径 160km以内 (玄海・伊方・川内、各原子力発電所)に、対応不可能な、巨大火砕流が到達する可能性が高い。




VEI ・6 規模 (噴出量、10〜100km3)の噴火でも、降下火砕物の気中濃度によって故障が発生する可能性が高いことから、原子炉施設又はその付属設備への影響を評価し、必要な場合には対策が取られ、安全機能が担保されることが求められる。

しかしながら、
VEI ・6 規模の、降下火砕物の対応は為されていない。

玄海・原子力発電所の場合、想定される最大噴出量は、約 6 km3、(層厚 10cm)

しかしながら、阿蘇カルデラの地下約 10km以浅のみに限定しても、
約 30 km 3 x2 の噴出量が想定されており、玄海・原子力発電所で対応可能予定、3.8g/m3 の、約 10倍 の気中濃度 が予想される。

原子力規制委員会、玄海・原子力発電所 

http://www.nsr.go.jp/data/000163920.pdf


玄海・原子力発電所、
3.8g/m3 (≒ 6 km3)

よって、
約 10 倍 ≒ 40 g/m3程度の、降下火砕物の気中濃度の対応が必要である。




10 ・ 総括



原子力規制委員会 ・ 原子力施設における火山活動に関する検討チームの会議は、2017年12月現在、未だ2回目に過ぎず、
実質協議が始まったばかりで、科学的判断が保留された状況である。

・  火山モニタリングにおける、異変の基準 (
原子力発電所の停止基準
・ 異変が生じた場合の対処 (燃料棒の移動 etc)

原子力規制庁より、基準案が示されたのみである。何も決定されていない。

VEI ・6 規模の、
降下火砕物の対応も為されていない。


また、阿蘇カルデラのVEI-7 以上の巨大噴火は、9万年発生しておらず、大量のマグマが存在する可能性が高いとの予測である (気象庁・日本活火山総覧、等)、噴火ステージも、破局的噴火ステージ直前と予測される。

即ち、原子力発電所の再稼動は、不可能な状態である。


なお、原子力規制庁、及び 九州電力に、火山の専門家は、ゼロ であり、原子力発電所の、重大事故を防ぐことは不可能である。



地震 ・ 準備書面 ・ 準備書面   



原発ノート