フィリピン海プレート周辺の地震・火山活動




★ フィリピン海プレートを取り巻く世界


日本付近は、北米・ユーラシア・太平洋・フィリピン海 の、4つのプレートに囲まれており、それぞれのプレート境界線で、過去幾度も巨大地震が発生しました。

北西太平洋を中心に見ると、フィリピン海プレートを中心に、北米・太平洋・オーストラリア・ユーラシアの各
巨大プレートが取り巻くような位置関係にあります。即ち、フィリピン海プレートの大きな変動は、周辺プレートにも影響を与えます。


日本周辺のプレート図   wikipedia




フィリピン海プレート領域の内、太平洋プレートと接する小笠原諸島付近 (変位量・年間 4cm程度)。近年は、2010年にM7クラスの地震が発生したのみで、巨大な空白域 ※1 の可能性があります。

千葉県東方沖付近は、フィリピン海プレート、太平洋プレート、北米プレートが複雑に交差しており、やはり空白域となっています。伊豆半島付近は、更にユーラシアプレートが鬩ぎ合っており、大都市圏に隣接するこのエリアは、要注意が必要です。

フィリピン海プレートと、ユーラシアプレートに挟まれた、東海〜南海・日向沖 も、変位量・年間 4cm程度で、このエリアでは有史以来周期的に、Mw 8.4〜9.0 の巨大地震が発生しています。宝永地震(Mw 8.8 )から約 300年、エネルギーがかなり蓄積された状態です。(Mw 9.0 ≒ 約 250年分 のプレート変位量※2)

奄美〜沖縄・八重山諸島付近も、近年は、2010〜2011年にM7クラスの地震が発生したのみで、巨大な空白域の可能性があります。


※1 空白域の地震エネルギー ≒ (プレートの年間移動量 x 年数)−戻った量 (スロースリップ含む)
※2  700km x120 kmx 0.01km ≒ Mw 9.0 (2x10^18J ) 、スロースリップ 60% で、Mw 8.8 相当





★ フィリピン海プレート周辺の、スーパー&ウルトラ・サイクル。


近年の調査で、東海〜南海・日向沖エリアにて、宝永地震 (Mw 8.8 ) を超える規模の津波遺跡が発見されており、通常のスーパーサイクルよりも大きなサイクル(発生周期、数 1000年程度以上)、Mw 9.0〜9.2 クラスの、超巨大地震が発生したと推測されます。(震源域長 約 1000km、幅 200km、平均変位量 10m前後)
エクセル計算シート  

地震規模と震源域の長さ・幅は、ほぼ比例関係にあることから、奄美諸島近くまで連動し、震源域の北端は本州の奥深くに達したと推定されます。 (フォッサマグナ、中央構造線付近 etc)。ユーラシア 〜フィリピン海プレート境界のほぼ全域、東海〜沖縄で、超巨大地震をシミュレーションすると、Mw 9.5 クラスとなります。

ウルトラサイクル(極超周期)とは、より発生頻度の低い
プレート深部の大規模リバウンド であり、プレート境界層をも含めた全層で動く為に、そのエネルギーは通常のスーパーサイクル地震と比較し、遥かに巨大です。

また、太平洋プレート側のスーパーサイクル地震 0311 でも、超巨大な歪みを解消するには至らず、更に巨大な(Mw 9.5 クラス?) 破局地震の発生の可能性もあります。


震源分布図 (気象庁)







★ フィリピン海プレート周辺の、火山活動 (1)


フィリピンプレート海プレート周辺、西日本の火山活動は、薩摩硫黄島、桜島、霧島山、阿蘇山、九重山、雲仙岳、御岳、焼岳、富士山、浅間山、三原山 etcと活発で、プレート型巨大地震とも関連しています。
1707年、宝永地震発生後の、富士山大噴火は有名です。

Mw 9.5 クラスのエネルギーで頭打ちの地震活動と違い、火山活動のエネルギーは、数 10万年スパンで、Mw 11.0 クラス (2x10^21J)の、超巨大噴火 ※3 があったことを示す地層等も多数確認されています。
(阿蘇カルデラ 他)。一定期間当たりの平均放出エネルギーは、地震 ≒ 火山です。

地震と同じく火山にも、通常の爆発サイクルよりも大きな周期(数万年程度)の、スーパーサイクルがあります。
巨大地震がプレートの移動量(年間4〜8cm程度)の長期間蓄積であるのに対し、巨大噴火は、マントル深部からのマグマの長期間蓄積となります。1立方kmのマグマの蓄積に、およそ数 100年の時間が必要ですので、100立方km超の超巨大噴火/Mw 10.0 〜のサイクルは、およそ数万年程度以上となります(一火山につき)


※3  
8万年前、M11 弱の阿蘇カルデラ ・超巨大噴火の際は、直径約 20kmの大規模カルデラが生成、直径約 200km超に及ぶ大火砕流域が生じた。小惑星衝突に換算すると、直径 2km弱程度に相当 (20km/s、比重2) し、大規模な気候変動も生じた。(同時期のインドネシア・トバ火山は、更にその数倍規模のM11 超巨大噴火、1000立方km超の噴出物による寒冷化が原因で、当時の人類の、90%以上が死滅したとされる)

その後に超巨大噴火を起こした、姶良カルデラ(桜島)や喜界カルデラ等も、Mw 10〜  クラスと巨大。

姶良カルデラの超巨大噴火の火砕流は、北部九州にも届く? シミュレーションとなっています。 




★ フィリピン海プレート周辺の、火山活動 (2)


火山噴火のエネルギーは、その大半がマグマの熱エネルギーとなりますが、 ※ 運動エネルギーも、10〜
20%程あります。音速を超えた大量の噴出物は、膨大な衝撃波となります。

カルデラ噴火の場合、大型になれば、1回で M 9 超の運動エネルギー(衝撃波)となり、半径 300km超 〜
の家屋を倒壊させる程になります ※

近年は、鹿児島の姶良カルデラ (桜島の本体) の超巨大噴火のシミュレーションが公開されており、南九州の大半が、超巨大火砕流に呑み込まれる模様ですが、北部九州〜関西付近まで、猛烈な衝撃波に呑み込まれ、関東方面も被害が広がる見込みです。


(備考) 姶良カルデラ、超巨大火砕流シミュレーション 

http://www.nsr.go.jp/activity/regulation/tekigousei/data/0095_04.pdf





※ 1883年、インドネシア・クラカタウ火山のカルデラ噴火の際、約 5000 km離れた東京において、1.4 hpa の
気圧変化と、大きな噴火音 (130dB 前後) の記録があります。

推定の噴火規模 (運動エネルギー)は、M 9 弱、家屋倒壊半径は、約 200 km (衝撃波圧力、1.4x (5000/200)^2 ≒ 1000hpa) と推測されます。

※ 噴火の運動エネルギーの最大値は、秒速 600m/s (マッハ2) 程度。


防災・地球科学 2 




(参考データ)

内閣府(防災)      
http://www.bousai.go.jp/
日本地震学会      
http://www.zisin.jp
日本火山学会      
http://wwwsoc.nii.ac.jp/kazan/J/index.html 
地震予知連        
http://cais.gsi.go.jp/YOCHIREN/




○ 巨大地震の規模、及び津波高の即時推定 


○ 地球科学 メモ