○ 肉眼テスト(極限等級)
について
天体観測の基本である肉眼。テストは極めてシンプルで、信頼できる星図 (恒星カタログ)を基に、目に見える限界の最微星を測定するだけです。天頂付近を通過する、ペガサス座付近やこと座付近が適しています。
恒星データは、一般的な Tycho カタログを使用するのがよいでしょう。ステラナビ等に搭載されています。
(備考) ペガサス座付近の 6.5等星以上の星図
Tycho2
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○ 肉眼テストレポート
平均的なブルーエリア(五ヶ瀬・標高 約 1300m)透明度良。SQM 値は、21.5
天頂付近での極限等級は 6.2〜6.3等星。
天の川はかなり輝き、濃い雲のように見える。暗黒帯とのグラデーションが素晴らしい眺め。
ペガサス座の四辺形の中の星は、約 20個確認。
※Tycho2 カタログの表記等級と実際の実視等級はややズレがある印象。暗所視比視感度の問題?のようで、
特に赤色の恒星は、表記の等級よりも暗く見える傾向にあるようです。
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○ 肉眼の極限等級は、どの位?
ブルーエリアで数回テストしたところ、ほぼ同じ結果となりました。一般的な視力(1.0前後)では、極限等級は、6等台に乗せるのがやっとという感です。
透明度次第で、極限等級はかなり差異がありますが、鋭眼の方は7等星(7.0等星)以上見える方もいるといいますから、そのロケーションや透明度、観測者の視力や瞳径等の分析が必要でしょう。(ちなみに、ペガサス座の四辺形の中には、7.0等星以上の星が、約 70個存在します)
ただ星図カタログの精度もあり、数多くのテスト星を使い、平均化して誤差を縮小する必要があるでしょう。
○ 肉眼の収差について
一般的に呼ばれている5収差、即ち球面収差・コマ収差・湾曲収差・歪曲収差・非点収差は、肉眼においても当てはまります。むしろ肉眼の収差の方がやっかいです。多くの人の眼球は縦横の曲率が違う非点収差を持ち(多くが正乱視)
乱視補正のメガネ・補正レンズ無しでは双眼鏡、望遠鏡もピントが合わないことになります。
乱視ユーザーのメガネ・補正レンズ無しでは特に、絞りに該当する裸眼の瞳径の大きいもの(低倍率)では非点収差でピントが合わないことが多くなりました。ただしメガネをつけると、強い近視の人は逆に視野周辺の歪曲収差等が増加して、周辺像が乱れることになります。(非球面レンズで補正も出来ます)
乱視を補正し、あるいは裸眼そのままで視力 1.0に達すれば、中心星像のエアリーディスクの直径は
約 120秒、となります。
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肉眼の比視感度、色彩 etc
肉眼での波長毎の感度は、対象の明るさによって変化します。満月のような明るい対象では明所視比視感度、暗い星や星雲などは暗所視比視感度に近似します。(個人差もややあるようです)
明所視比視感度のピークは約 550nmですので、緑のe線(546nm)に近似します。暗所視比視感度のピークは約 510nm、青のF線(486nm)近似します。よって望遠鏡等の球面収差の補正も、この2波長の焦点距離の差異が少なくなるように設計されています。一方、感度的にはやや落ちる黄のd線(588nm)および赤のC線(656nm)も、色彩のバランスや分解能の維持のためには欠かせない波長です。これも同様にe・F線との差異が大きいと明瞭な像にはなりません。(コーティングや硝子の透過率も影響します)
紫のg線(436nm)は、肉眼ではあまり感じない波長です。ただし写真での感度は概して高く、焦点距離の差異が大きいと壮大な青紫のハロの原因となります。

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