彗星〜 観測 ・ 写真 etc ガイドライン




○ 彗星・記録写真の基本事項 

本来の記録写真 (観測写真) は、出来るだけ元画像情報を毀損しないのが基本です。画像処理を過剰に行えば行う程、元画像情報からかけ離れたモノ、即ちイラストレーションとなります。

眼視観測との整合性を考慮に入れれば、コンポジットなしの美しい1枚撮りが望まれます。継続性の原則 (基準) に従い、統一機材・統一条件で、長期の比較が出来ることが望ましいです。なお、焦点距離 100mm、露出 2〜8秒 (F 2.8 ^ ISO 800) 前後の写真と、50mm10倍前後の双眼鏡の見え方が類似します。

一般には、望遠鏡〜望遠レンズ (焦点距離、100〜400mm前後) での拡大写真が良好でしょう。





○ 彗星・記録写真の基本事項 (2)


画像処理をしない前提での撮影は、JPEG 画像。更にカラーバランス等も、標準モードが良好です。(AWB) 

コンポジット※1 なしの場合、等倍画像の荒れを防ぐ為に、1800x1200 ドット前後のサイズが良好です。ISO感度も、最近は 12800 超の機種が多いですが、やや低めの設定が良好です。( 800〜3200 程度)

眼視観測との整合性※2 を保つためには、背景の明るさも、眼視観測に近いものに合わせます。


※1  コンポジットは、彗星等が過剰に明るく、高 SN比で表現され、記録写真としては不適切となります。
※2 眼視観測との整合性、即ち従来のスケッチ等の記録を、適正にデジカメ記録に移行する為の基準。 




○ 彗星・記録写真の基本事項 (定量データ)


星野のバックグラウンドの明るさは、理想的な無光害値で平均、
22等級/1平方秒 なので、大気の擾乱を考えると、地上からの写真・極限等級は、大口径・長焦点でもこの数値を大きく超えることは困難です。極限等級は、スポット径が同一の場合、焦点距離が1.6倍で1等級向上します。

レンズ光学系以外の要素は、撮像素子の密度、ガイドの精度、気流(シーイング)、ピント調整 etc があり、
理論写真極限等級を、実際の撮影で達成する為には、高いハードルがあります。 
望遠鏡・極限等級テスト


(基本分解能・極限等級、概算表)  F 8 光学系、SQM21


焦点距離 (mm) エアリーディスク
直径(μ)
エアリーディスク
直径(秒)
基本極限等級
100 10 20 12
200 10 10 13.5
300 10 14.5
400 10 15


(露出時間、概算表) F 2.8、ISO 800  (100mm)

SQM 値 極限等級 露出時間 (秒)
18
19 10 15
20 11 40
21 12 100








○ 薄明中での観測と、撮影データ

近日点通過前後、明るい空の撮影の場合は、望遠レンズ(100〜200mm前後)での写真が良好でしょう。
露出時間は、太陽 −10度(約 50分)、F 2.8、ISO800の場合、およそ露出 1秒 です。

(露出時間、概算表) F 2.8、ISO 800、高度 10度、赤緯0度、N 35 度

太陽高度 (度) 日没後 (分) 露出時間 (秒)
−9 45 0.5
−10 50
−11 55
−12 60


明るい彗星は、日没後 30分位で眼視観測が可能になりますが、撮影はおよそ45分後〜 が適正です。



○ その他、撮影データ

望遠レンズ(固定・追尾)で、星を点像に写す為には、焦点距離及び撮像素子 etc のサイズで決まります。

(追尾、概算表) 1800x1200 ドット、2ピクセル以内、赤緯0度


焦点距離 (mm) 角度 (秒) 露出時間 (秒)
105 40
200 22 1.5
300 15
400 11 0.7




○ 濃度を、調整する場合は・・

画像処理のスタンダード 「ガンマ補正」 となります。出来るだけ1に近い(0.8 以内) 画像処理とします。


(備考)
 ガンマ補正  0.8




(備考) パンスターズ彗星 ・当倍画像 / 画像処理は特になし。 ガンマ 1.0



37/105 (F 2.8) 露出 1秒 ISO800 ペンタックスK10D  2013.0314 

astroarts








○ 彗星の光度 etc の観測

彗星の光度式計算において、眼視による光度測定は重要です。

彗星の光度 (
核+コマの部分)に応じて、適正口径・倍率の双眼鏡、望遠鏡 etc を選択します。ピントをぼかし(S法が良好)、複数の星との比較で決定します。星図はステラナビゲーター(Tycho) が良好です。
赤い星は避け、出来るだけ同高度の比較星を使用します。  (備考)
 comet_handbook_2004

更に正確な光度を求める為には、薄明・光害・低空等の補正係数が必要です。


一般光度式、m ≒ 標準等級 + 5log△+ ※ logr  

標準等級、及び係数 ※ を、光度の推移から適切に求め、(
物理的光度の) 光度曲線を作成します。
(注)、薄明・光害・低空等の補正をしてない光度観測データは、光度曲線よりも、やや下方を推移します。


宇宙物理学 ・工学 メモ


(備考) パンスターズ彗星  光度曲線 (5.0 + 5log△+ 7.5logr )     






○ 薄明補正係数 etc


薄明・光害等の補正は、バックグラウンドの明るさと、彗星コマの明るさを、それぞれ1平方秒(SQM) の差異から、適正に補正します。差異が 5等級の場合、約 0.3等プラスが宜しい様子です。

(例) 3月中旬のパンスターズ彗星の場合、見かけの明るさ約 2等。SQM約 8等。バックグラウンドの明るさが13等級の薄明で、光度補正 約 0.3等プラス。


(薄明補正、概算表) 


光度差 光度・等級差 適正補正値
1 /1000 7.5 0.1
1 /100 5.0 0.3
1 /10 2.5 1.0
1 /1





○ その他、眼視観測データ etc


1枚撮り写真で、彗星光度を求める場合は、眼視観測と近似するように露出等を調整します。

全光度 (核+コマ+尾、全て) の計算は、眼視観測と近似した尾の濃度の1枚写真、及びピントを大きくぼかした写真との比較で求めるのが良好です。


(極限等級、概算表) 天頂付近

SQM 値 肉眼 50mm 10倍 80mm 25倍
18 4.5 9.0 10.0
19 5.0 9.5 10.5
20 5.5 10.0 11.0
21 6.0 10.5 11.5


望遠鏡・極限等級テスト




○ 明るい彗星の観測・観望 etc のまとめ


写真観測 → 画像処理を前提としない、1枚撮り推奨。焦点距離 、100〜400mm前後。 継続性の原則。
眼視観測 → 光度 etc。50mm10倍前後の双眼鏡が、優れた運用成績。 
観望    → いろいろと・・。





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