○ 巨大地震の規模、及び津波高の即時推定 (データ検証 etc)
3 ・モーメント・マグニチュード Mw 速算モデル (震度分布モデル) 地震の物理的規模 (モーメント・マグニチュード Mw) が大きい地震は、断層の長さが増加、それに比例して、強震域 (強震度分布長)も拡大する。 Mw が 2 (地震規模 1000倍)増加すると、強震域長は約 10倍となる。また、Mw 8.8 の地震の、震度 5強〜エリアの強震度分布の長さ L は、約 600kmである。 即ち、 モーメント・マグニチュード Mw ≒ 2.0logL+3.2 に近似する。 ★ エクセル・計算シートB (震度 5強〜 震度分布図 比較例) ![]() Mw 8.8 ※ は、東京〜青森 約 600kmの強震域分布。 震度 5強〜 エリアの強震度分布域の面積 S km2 とすると、 Mw = logS+3.4 前後に近似する。 (600 x 400 km モデル) なお、強震域の定義を 震度 6弱〜 のみにすると、強震域が分散し、適正な モーメント・マグニチュード Mw の算出が出来ない恐れがある。同様に震度 5弱 〜 にすると、Mw が過小評価される恐れがある。 (連動型巨大地震の震度 5弱 〜分布エリアは、減衰が大きい傾向がある。) よって、強震度分布モデルは、震度 5強〜 エリア単独データ、或いは 震度 5弱 〜 5強〜 震度 6弱 〜 、 各エリアの加重平均値データを使用するのが適切である。(Mw 適合範囲 6.5〜9.5 前後) 。 アウターライズ巨大地震の場合、震度 5弱 〜 のみのデータで判断する場合も生ずるが、Mw は やや過小評価される恐れがある。(Mw ≒ 2.0logL+3.0 前後) また、モーメント・マグニチュード Mw ≒ 2.0logL+3.2 の係数、3.2 は、震源域が極端に細長い連動型地震 (南海トラフ etc) の場合、3.0 前後が適正となる。 以上の速算式で、Mw 算出における平均誤差は、0.4 程度となる。 3-1 ・モーメント・マグニチュード Mw 速算モデル (震度分布モデル) 注記 強震域分布モデルは、単純な長さよりも、強震域分布域の面積がより正確である。 Mw = logS+3.4 更に正確性を高める為には、震源の深さ (やや深い方が、強震域分布域の面積が拡大するので補正値が必要、0.1〜0.3 程度のマイナス)、及び震源域の特性 (断層パラメーター、地殻特性 etc により、強震域分布域の面積が上下する) の考慮が必要である。データーの ※ カーブフィット も適正に行う。 地震規模 Mw の過大評価を避ける為は、Mw = logS+3.2 ±補正値、で良好。 東日本・超巨大地震、震度分布図 (tenki-jp) ![]() |
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※ 強震域データのカーブフィット 強震域の特異データを平均化する為に、適切なカーブフィットが必要である。 概ね、50x50 km四方程度の全震度データを収集、上下それぞれ10%程の特異値を除いて平均値を算出し、 強震域の長さ、及び面積のデータを算出する。 気象庁震度 〜加速度 gal (周期 1秒波) 換算表
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3 -2 ・モーメント・マグニチュード Mw 速算モデル (震度分布モデル 〜 スロー地震) 通常の巨大地震と違い、津波地震 と呼ばれる、通常の震度 (周期 1秒前後) が小さいスロー巨大地震 (明治三陸地震タイプ) の場合は、適正な モーメント・マグニチュード Mw を速算する為には、長周期 (〜100秒) の強震度分布データが必要となる。その場合の計算時間は、地震発生後 5分 程度とやや時間が掛かるのが欠点である。(通常の巨大地震の場合は、地震発生後 3分程度) 正確な数値を算出する為には、周期 200秒前後のデータが必要だが、時間が更に必要。 3 -3 ・ モーメント・マグニチュード Mw 速算モデル (有感地震・継続時間モデル) 巨大地震の場合、その性質 (一般型、スロー型) に関わらず、有感地震動の継続時間が極めて長く、その時間と地震規模、 モーメント・マグニチュード Mw と良好な相関関係がある。 地震の物理的規模 (モーメント・マグニチュード Mw) が大きい地震は、断層の長さが増加、それに比例して、強震域 (強震度分布長)も拡大する。 Mw が 2 (地震規模 1000倍)増加すると、強震域長は約 10倍となると同時に、有感地震の継続時間も 約 10倍となる (有感地震の定義は、概ね震度 2 ≒ 2ガル以上とする) また、Mw 8.8 の地震の有感地震動・継続時間 T (秒)は、約 300秒である。その他のパラメータを考慮しなければ、Mw ≒ 2.0logT+3.8 に近似する (Mw 適合範囲 6.5〜9.5 前後) 。 有感地震継続時間 T は、震源域より100kmでの測定を標準とするが、多少の差異では継続時間はあまり変化しない。但し傾向としては、震源域からやや距離がある方が継続時間が長い、また地盤の共振等の理由で、Mw 6.5〜7.5の地震では、上記速算式よりも大きなMw が算出される傾向がある。よって、 モーメント・マグニチュード Mw ≒ 2.4logT+2.8 前後 に近似する。 通常の震度が小さいスロー巨大地震 (明治三陸地震タイプ)の場合も、良好な数値となると推定される。 しかし、震度 2に満たない津波地震の記録もあり、今後様々に検証が必要である。 以上の速算式で、Mw 算出における平均誤差は、0.4 程度となる。 3 -4 ・ モーメント・マグニチュード Mw 各速算モデルの判定 etc 強震度分布モデル etc 、有感地震動・継続時間モデルの双方のデータに差異がある場合、双方のデータの平均値を採るのが適切である。但し、スロー地震 etc の場合で、双方のデータに極端な差異がある場合、極端な過小評価にしない為に、有感地震・継続時間モデルに加重して判定する必要がある。 |
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3 -5 ・ モーメント・マグニチュード Mw GPS速報データによる速算モデル 国土交通省 (国土地理院)の、リアルタイムGPSデータの入手が可能になれば、強震域 (概ね、震度5 ≒ 100 ガル/1s 以上)の、地殻変動分布データから、モーメントマグニチュードの速報が可能。 強震域面積と平均変位量より、モーメントマグニチュード Mw の速算式は以下。(μ= 4.0 相当) Mw 速算式 ≒ log32 (強震域面積 x 平均変位量 km) + 7.0 (log32 SD + 7.0 ) 海溝型巨大地震の場合、陸域強震域の平均変位量 x 2倍前後が適正。スロー地震も同様。 0311 東日本・超巨大地震 の場合、log32 (600x400x0.002x2) + 7.0 ≒ Mw 9.0 エクセル計算シート |
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4 ・津波高 速算モデル 津波高の計算において、海溝型・巨大地震の場合は、現在の気象庁の計算システムでは、地震発生後 15分程度とやや時間を必要とする為に、3分 程度以内に計算が完了する速算 (速報)モデルが必要である。 津波の規模 (総水量 ≒ 高さx幅x奥行き) は、地震の物理的規模、モーメント・マグニチュード Mw に比例する。概ね、津波高は震源域の平均モーメント、及び強震度分布域の長さ に比例して増加する。また統計的に、平均津波高 x 2 ≒ 最大津波高、平均津波高 x 6 ≒ 最大津波遡上高 、に近似する。 計算手順は以下の通り。 平均津波高 ≒ 基準平均モーメント x 縦モーメント率 x 拡散率 x 水深効果率 ○ 基準平均モーメントの速算 震源域の平均モーメント(ずれ量) を 計算。 計算式、震度 5強 エリア長(km) x 0.000015 (≒ (10^(Mw-3.5/2)) x 0.00002) 有感地震・継続時間モデル etc の場合も同様。 ○ 縦モーメント率の速算 横ずれ断層地震、0.05〜 縦ずれ断層地震、 0.5 前後 縦モーメント率を、震源域とプレート境界面の位置関係 etc からシミュレーションする。 アウターライズの正断層巨大地震の場合、縦モーメント率は増加の傾向がある。 ○ 拡散率の速算 震源域長 ※ が長く、海岸線との平均距離が小さい程、拡散率は、1に近くなる。 震源域と海岸線との平均距離を L (km) とすると、震源域長/(震源域長+1.2 L) (角度 30度相当) ※ 震源域長 ≒ 震度 5強 エリア長(m) x 0.67 ○ 水深効果率の速算 津波は、水深の浅い海岸付近ではスピードが遅くなり、後方の波と干渉して波高が高くなる。 倍数は、震源域の平均水深を D (m) とすると(1/D)^ 0.25 4 -2 ・津波情報、速報データベースの構築 etc 巨大地震の縦モーメント比率で、津波の高さは変化する。よって、震源域の分布(深さ)から、プレート境界面の位置関係 etc を把握、縦モーメント率を速算するシステムが必要。連動型巨大地震の場合、平均 0.15 前後。 津波の規模 (総水量 ≒ 高さx幅x奥行き) 津波の高さが同一でも、幅と奥行きの差異で、総水量 ≒ 津波浸水エリアは大きく変化する。水量の詳細データ、及び津波浸水区域の速算・速報データは、一般住民の避難計画を即時に策定するためにも不可欠。 ※ (備考) 物理的 シミュレーション Mw 9.0 ≒ 2.0x10^18J 1J ≒ 1N・m (1kg・m・s2 ) ≒ 0.1kg・m↑ 2.0x10^18J ≒ (4.5x10^6) x(1.5x10^6) x(1.0x10^4) ≒ 6.7x10^16kg・3.0m↑ 3.0 x 0.5(仮補正値) x 450 x 150 ≒ 100 立方 km3 (総水量) |
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4 -3 ・大滑り領域の速算 etc 津波情報の速算データベースは、予想される連動型巨大地震のパラメータから、即時にデータを引き出せることが必要である。更に、平均滑り、大滑りの両パターンのシミュレーションが必要である。 東海〜南海・日向沖 (南海トラフ)、連動型 ・超巨大地震 シミュレーション
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中央防災会議、シミュレーション (Mw 〜9.1) ![]() |
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5 -2 ・地震規模・過小評価 のチェック etc 311・東日本地震は、広範囲の強震域を伴う典型的な連動型超巨大地震で、大幅な過小評価は考えにくい。 過小評価の可能性があるのは、ごく地震動の弱いスロー巨大地震で、震度 2程度以下の微震が、3分以上継続した場合は、最大限の警戒が必要である。M 8.5超の巨大地震の場合、周期100秒前後の長周期地震動が卓越しており、迅速にデータを収集する必要がある。 巨大地震発生後 3分、津波高、モーメント・マグニチュード Mw 1次速報 (Mw 8.8 迄) ↓ 巨大地震発生後 5分、津波高、モーメント・マグニチュード Mw 2次速報 (Mw 9.1 迄) スロー地震 の速報システムが、不可欠である。 |
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6 ・まとめ 海溝型 ・巨大地震の物理的規模 (モーメント・マグニチュード Mw)、及び津波高の速算 (推定) において、 現在の気象庁の計算システムでは、地震発生後 15分程度とやや時間を必要とする為に、3〜5分 以内 に計算が完了する速算 (速報)モデルが必要である。 ★ エクセル・計算シートB 5種類の速算方法、即ち 1・強震域( 100gal〜)の分布から、Mw、津波高を速算。 2・長周期(〜100s)の強震域の分布から、Mw、津波高を速算。 3・震源域端より、200km内外の平均震度から、Mw、津波高を速算。 4・有感地震( 2gal〜)の継続時間から、Mw、津波高を速算。 5・GPSの地殻変動速報データから、Mw、津波高を速算。 それぞれのデータ分析が必要。 気象庁 マグニチュード Mj は、巨大地震には適合しない。 物理的基準の モーメント・マグニチュード Mw が正しい基準である。 (Mw 速算式 ≒ log32 SD + 7.0 ) なお、東海〜南海・日向沖 4連動超巨大地震の津波到達最短時間は、地震発生後10分以内と推測される。 最大死者数、32万人という、極めて甚大な被害が予想され、一刻も早い速報システムの構築が必要である。 |
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参考文献 (1) 2011年 〜2013年 中央防災会議、東海〜南海・日向沖 4連動、超巨大地震パラメーター 〜 Mw 9.1 http://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/nankaitrough_info.html 日本地球惑星科学連合 http://www2.jpgu.org/meeting/2013/session/H-DS26.html http://www2.jpgu.org/meeting/2013/session/S-SS35.html http://www2.jpgu.org/meeting/2012/session/H-DS26.html http://www.jpgu.org/meeting_2011/session/session_html/HDS26.html http://www.jpgu.org/meeting_2011/session/session_html/SSS23.html http://www.jpgu.org/meeting_2011/session/session_html/SSS35.html 産業技術ブログ http://staff.aist.go.jp/hosokawa-jun/kaiyou-kenkyu62.html 津波対策の推進に関する法律 http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H23/H23HO077.html |
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参考文献 (2) 2002年 〜 2005年 ※ 中央防災会議、東海〜南海 3連動地震パラメータ 〜 Mw 8.8 http://www.bousai.go.jp/kaigirep/chuobou/senmon/tounankai_nankaijishin/6/pdf/siryou1.pdf 東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法 http://www.shugiin.go.jp/itdb_housei.nsf/html/housei/15420020726092.htm http://www.bousai.go.jp/kaigirep/hakusho/h24/bousai2012/html/honbun/4b_8s_42_00.htm 中央防災会議、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震パラメータ 〜 Mw 8.6 http://www.bousai.go.jp/kaigirep/chuobou/senmon/nihonkaiko_chisimajishin/10/pdf/siryou1.pdf 日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法 http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H16/H16HO027.html http://www.bousai.go.jp/jishin/nihonkaiko_chishima/pdf/gaiyou/gaiyou.pdf ※ 2002年、Mw 8.8 連動型巨大地震の法的整備、シミュレーション策定が為されていたが、10年以上経た現在も、気象庁 etc の、モーメント・マグニチュード Mw 及び津波高の定量速報システムは、稼動していない。 |
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参考文献 (3) 防災ネット k-net http://www.kyoshin.bosai.go.jp/kyoshin/gk/publication/1/I-3.2.3.html 国土地理院 http://www.gsi.go.jp/cais/topic110314.2-index.html http://www.gsi.go.jp/WNEW/PRESS-RELEASE/eisei20120406.html http://www.gsi.go.jp/cais/chikakuhendo40012.html 地震調査研究推進本部 http://www.jishin.go.jp/main/chousa/13may_nankai/index.htm 気象庁 http://www.seisvol.kishou.go.jp/eq/index.htm http://www.seisvol.kishou.go.jp/eq/workshop/index.html 日本気象協会 (tenki-jp) http://bousai.tenki.jp/bousai/earthquake/detail-20110311144600.html (以下、続く・・) |
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○ 巨大地震の規模、及び津波高の即時推定 |