津波 速報モデル (予測システム) 1




★ 津波 速報モデル (予測システム) の概要


津波の波高等の計算において、特に モーメント・マグニチュード Mw 8.5 を超える、超巨大地震の場合は、
現在 (2012.01) の気象庁のシステムでは、かなりの時間を必要とするために、
3分 程度で計算が完了する、
速報(速算)モデル〜予報(予測)システム、が必要となります。 


○ 巨大地震の規模、及び津波高の即時推定 


予測システムの計算手順は、以下のようになります。

● 平均津波高 ≒ 基準平均モーメント x 縦モーメント率 x 拡散率 x 水深効果率


東日本・超巨大地震、震度分布図 (tenki-jp)






★ 津波 速報モデル (予報システム) の各項目計算



○ 震源域長の速算

震源域が、海岸線より概ね 150km以内の場合 、震源域長( ≒断層長 ) ≒ 
震度 6 エリア長 となります。
地震発生後、3分程度で、震度 6 エリア の分布長が算出されます。スロー地震の場合、長周期震度の強震域の計算は、やや時間がかかります。


○ 基準平均波高の速算

震源域の平均モーメント(ずれ量) を 計算。
計算式は、震源域長(m)x 0.00002 となります。 (震度 5強 エリア長 x 0.000015)


○ 縦モーメント率の速算 

横ずれ断層地震、0.05〜 縦ずれ断層地震、 0.5 前後 
縦モーメント率を、震源域とプレート境界面の位置関係 etc からシミュレーションます。特に逆断層側は縦モーメント率が増加します。モーメント・マグニチュード Mw 8.5 以上の超巨大地震の場合は、0.15 前後です ※

(備考) 国土地理院
http://www.gsi.go.jp/cais/topic110314.2-index.html


○ 拡散率の速算

震源域長が長く、海岸線との平均距離が小さい程、拡散率は、1に近くなります。
震源域と海岸線との平均距離を L (km) とすると、震源域長/(震源域長+1.2 L) となります 
(角度 30度相当)


○ 水深効果率の速算

津波は、水深の浅い海岸付近ではスピードが遅くなり、後方の波と干渉して、波高が高くなります。倍数は、
震源域の平均水深を D (m) とすると(1/D)^ 0.25   とします。




2011.0311 東日本巨大地震、シミュレーション ※

震源域長 ≒ 450 km
L      ≒ 100 km
D      ≒ 1000 m


平均津波高 ≒ 9.0 x 0.15 x 0.79 x 5.6 ≒ 6.0 m

最大津波高 ≒ 6.0  x 2 ≒  12.0m
最大遡上高 ≒ 12.0  x 3 ≒  36.0m




※ 物理的 シミュレーション  Mw 9.0  ≒  2.0x10^18J

1J ≒ 1N・m (1kg・m・s2 ) ≒ 0.1kg・m↑
2.0x10^18J  ≒ (4.5x10^6) x(1.5x10^6) x(1.0x10^4) ≒ 6.7x10^16kg・3.0m↑
3.0 x 0.5(仮補正値) x 0.79 x 5.6 ≒ 6.6 m


最大津波高 ≒ 6.6  x 2 ≒  13.2m
最大遡上高 ≒ 13.2  x 3 ≒  39.6m

↑は、海面の平均上昇高。




■ 津波・波高  警報 モデル表

平均津波高 最大津波高 最大津波遡上高 新名称 (案) 備考
0.5 m 〜 1 m 〜 津波注意報
1 m 〜 2 m 〜 第 2級 ・ 津波警報
2 m 〜 5 m 〜 10 m 〜 第 2級 ・ 津波警報
5 m 〜 10 m 〜 30 m 〜 第 1級 ・ 津波警報 東日本地震 (2011)


第 1級 ・ 津波警報 ≒ 超巨大津波警報 (スーパー津波警報)
第 2級 ・ 津波警報 ≒ 津波警報




近い将来の発生が予想される、スーパー東南海地震  (東海〜東南海〜南海〜日向沖 4連動) の場合、
東日本地震と違い、M 9・超巨大地震の発生から、沿岸の津波到着まで、
最短で 10分以内と予想されます。
よって、1分でも早い、モーメント・マグニチュード Mw 〜 最大津波高・最大遡上高、の速報が必要です。


(参考データ) 気象庁、津波予報等 最終取りまとめ他
http://www.jma.go.jp/jma/press/1109/12a/torimatome.pdf 




※ 津波の特性 etc の考察。

津波の規模
 (総水量 ≒ 高さx幅x奥行き) は、基本的に、モーメント・マグニチュード Mw に比例しますが、
津波高のみであれば、モーメント・マグニチュード Mw が小さくとも、大きな数値になることがあります。プレート境界型の津波の場合、縦方向モーメントが大きく、津波の形状は高く、奥行きが狭いのが特徴です。

同タイプの津波地震の場合、Mw が 0.6 増加で、規模 2倍 (高さx幅x奥行き の数値) となります。
総水量は、8倍です。

また、スロー地震タイプ (明治三陸津波地震タイプ)の場合、
長周期地震波の検出にやや時間が掛かり、
モーメント・マグニチュード Mw の予測〜 津波規模予測 がやや遅れる問題点 etc があります。


○ 巨大地震の規模、及び津波高の即時推定 



○ 地球科学 メモ