アイソン彗星、消滅の物理的分析
○ 物性の基本解析全般 etc 彗星は、その多くがダストを含む水 (雪・氷)とされています。 物理的強度を推測すると、およそ 10〜100気圧程度 (通常の岩石は、100〜1000気圧程度) 熱的特性は、大半を水と仮定すると、融解熱は約 100cal /g、気化熱は約 500cal /g 太陽を掠める彗星群の場合、強烈な遠心力による核崩壊、及び太陽熱による気化の2項目について、 数値シミュレーションするのが適正と思われます。 ○ 遠心力による核崩壊 遠心力 は、速度の2乗に比例して増加、中心からの距離に反比例して増加します。地球付近(1AU)の彗星と比較して、近日点付近のアイソン彗星(0.01AU)は、約 10000倍の遠心力による圧力を受けます。 近日点付近の速度 ≒ 400000m/s、比重1 F = mv^2/r の一般式に代入、1x 400000^2/1400000 ≒ 110000 N ≒ 11000 G ≒ 110 気圧 核崩壊を起こす圧力に、到達しています。 ○ 太陽熱による気化 地球付近(1AU)での太陽熱は、2cal/cm^2/分。氷の融解熱は約 100cal /g、気化熱は約 500cal /g、1時間当たりの融解量は1cm 程度となりますが、近日点付近のアイソン彗星(0.01AU)は、約 10000倍の熱量を受けます。即ち、1時間当たりの融解量は、約 100m となります。 近日点通過付近における融解量を積算すると、約 500m 強相当となります。 SOHO 画像 (近日点通過前、約 20h) http://sohowww.nascom.nasa.gov/data/realtime/c3/512/ |
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○ アイソン彗星、消滅の物理的モデル (1) 太陽を掠める彗星群は、遠心力による高圧に晒され、かなりの部分が分解されます。 よって、分解後も、直径 1000m程度の物理量が確保されれば、無事に近日点を通過出来るということになります。彗星核が、より大きく、より強固な氷になれば、近日点通過確率が増加します。 大きさ(物理量)においては、標準等級から類推が可能です。強固さ(物理的強度)においては、群の特性から類推が可能です (クロイツ群は、より強固な氷で、近日点通過確率が高いものと推測されます。) アイソン彗星の場合、光度のピークが近日点通過前12〜24時間にあったことから、物理量・物理的強度、双方がかなり不足していたと推測されます。(物理量が大きく、物理的強度が不足している状態ならば、近日点付近で急激な増光があった思われますが、アイソン彗星は−1等級程度で頭打ち。また近日点通過 約 2週間前と早い時期にも急激な増光をみせており、物理的強度もかなり不足していたと推測されます。) 標準等級 5等星で、彗星核の直径約 5kmなので、近日点通過前(1AU) の標準等級 8〜9等級のアイソン彗星は、直径1〜2kmと推測され、近日点通過確率は最初から小さい状況でした。 アイソン彗星の場合、 以上の物理的推移を、図解してみると・・ ○ ≒ 200m角の彗星核 (2013、11月12日以前) 増光以前の状態、彗星核直径、約 1200 m ○○○○○○ ○○○○○○ ○○○○○○ ○○○○○○ ○○○○○○ ○○○○○○ ↓ (11月13日〜27日) バースト、大きく割れて急増光 ○○○ 。 ○○○ ○○○ 。 ○○○ ○○○ 。 ○○○ 。 。 。 。 。 。 。。 ○○○ 。 ○○○ ○○○ 。 ○○○ ○○○ 。 ○○○ ↓ 11月28日 最大光輝時、更に分解、気化 ○。 。 。○ 。 。○ 。 。 。 。 。 。 。 。 。 。 。 。 。 。 。 。 ○。 。 。○ 。 。○ 。 。 。 。 。 。 。 。 。 。 。 。 。 。 。 。 ○。 。 。○ 。 。○ ↓ 11月29日 近日点通過時、ほぼ消滅 。 。 。 。 。 。 。 。 。 |
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○ アイソン彗星、消滅の物理的モデル (2) 11月 28〜29日(日本時間) における、1時間毎の融解量と、彗星核の直径シミュレーションです。 28日12時前の最大彗星核の直径を 300mと仮定すると、29日05時に消滅です。直前 12時間程度で、 急速に融解する様子が判ります。 アイソン彗星核直径、推移表
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